日本語教育通信 日本語教育ニュース 「みんなのCan-doサイト」に“まるごとCan-do”が追加されました!

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このコーナーでは、国際交流基金の行う日本語教育事業の中から、海外の日本語教育関係者から関心の高いことがらについて最新情報を紹介します。

「みんなのCan-doサイト」に“まるごとCan-do”が追加されました!

日本語国際センター 専任講師 長坂水晶
教材開発チーム 横田亜朱紗

 「みんなのCan-doサイト」は今年でオープンから4年目を迎えます。これまで、493のCEFR※1Can-doと、国際交流基金が作成した342のJF Can-doをデータベース化して公開してきました。今回、2014年3月付けで、新しいJF Can-doである“JFまるごとCan-do”(以下“まるごとCan-do)が追加されました。今回は“まるごとCan-doとその活用方法をご紹介します。

“まるごとCan-do”とは

 “まるごとCan-doはJF日本語教育スタンダード準拠コースブック『まるごと 日本のことばと文化』※2(以下『まるごと』)で使われているJF Can-doです。2014年3月には、2013年9月に出版された『まるごと 日本のことばと文化 入門A1かつどう』(以下、『まるごと 入門A1』)に対応した、56の“まるごとCan-doを「みんなのCan-doサイト」に追加しました。

“まるごとCan-do”と『まるごと』の実例

 “まるごとCan-doは、『まるごと』の各課の学習目標※3に対応しています。『まるごと』を見れば、“まるごとCan-doに書かれた言語活動が、どのような場面でどのような相手と、どのようなやりとりをするのか、そこで使われる表現がどのようなものなのか、具体的にわかります。『まるごと 入門A1』第12課を例にとって見てみましょう。

“まるごとCan-do”は、これまでのJF Can-doと同じく、やりとりの場面・相手、内容がわかるように具体的に書かれています。『まるごと』では各課の学習目標を“もくひょうCan-do”として示しています。学習者に分かるような簡単な文で書かれていて、番号が付いています(表内の数字)。「みんなのCan-doサイト」に公開されている“まるごとCan-do”の例地域で有名な祭りなど、催し物のポスターを見て、開催日、場所など、ごく基本的な情報を探し出すことができる→『まるごと 入門A1』番号Can-do 30“もくひょうCan-do”:イベントの ポスターや カレンダーを よみますイベントのポスターを見ながら、イベントに行くかどうか、友人に短い簡単な言葉でたずねたり、答えたりすることができる→『まるごと 入門A1』番号Can-do 31“もくひょうCan-do”:イベントに行くかどうかいいますと書かれた画像
『まるごと 入門A1』第12課より(Can-do30Can-do31

 次に、これらのCan-doが『まるごと 入門A1』でどのように具体化されているか見てみましょう。

『まるごと 入門A1』の画像
図1:『まるごと 入門A1』第12課 P78-P79 図2:『まるごと 入門A1』第12課 Can-do30の活動例

“まるごとCan-do”を使ってできること

 “まるごとCan-doを授業の目標に設定した場合には、次のようなことができます。

1)レベルに合った素材についての情報が得られる

“まるごとCan-doを目標とした授業では、どの程度のやりとりができれば良いかや、どのような素材がそのレベルに合っているのかを『まるごと』を参考にして考えることができます。例えば“まるごとCan-do≪地域で有名な祭りなど、催し物のポスターを見て、開催日、場所など、ごく基本的な情報を探し出すことができる≫ はA1レベルの「受容」つまり読む活動を表しています。この活動は『まるごと 入門A1』第12課(図2)で扱われています。教師は、『まるごと 入門A1』を見ることで、A1で想定されるレベルイメージや、具体的な素材・言語項目の例を得ることができます。

2)『まるごと』を参考に、教室活動を考えることができる

“まるごとCan-do≪イベントのポスターを見ながら、イベントに行くかどうか、友人に短い簡単な言葉でたずねたり、答えたりすることができる≫は、実際の場面ではどのような談話になるでしょうか。『まるごと 入門A1』の第12課では、“もくひょうCan-do 31の活動として談話例が示されています(図3)。教師は、この談話例とその直前の“もくひょうCan-do 30の活動(図2)を参考に、適当なポスターを用意し、そのポスターを見ながら学習者同士がやりとりするような教室活動を組み立てることができます。

『まるごと 入門A1』第12課 Can-do31の活動例の画像
図3:『まるごと 入門A1』第12課 Can-do31の活動例

まるごとCan-doを使った自己評価表の例の画像
“まるごとCan-doを使った自己評価表の例

3)学習目標の確認や評価に利用できる

“まるごとCan-doは学習目標を確認したり、学習の成果を評価したりするために使うことができます。例えば『まるごと 入門A1』第12課の“もくひょうCan-do 30(図2)は≪イベントのポスターやカレンダーをよみます≫となっています。対応する“まるごとCan-do≪地域で有名な祭りなど、催し物のポスターを見て、開催日、場所など、ごく基本的な情報を探し出すことができる≫を必要に応じてやさしく書きかえたり、翻訳したりしてチェックリストを作成すれば、学習者自身が自己評価するために使うことができます。

検索ページの新たな機能を利用してCan-doを活用しよう!

 “まるごとCan-doは「みんなのCan-doサイト」の検索ページでJFまるごとにチェックを入れると検索することができます。また、今回のCan-doの追加に伴って、JFすべてボタンが検索ページにつきました。

みんなのCan-doサイト」の新しくなった検索ページの画像
「みんなのCan-doサイト」の新しくなった検索ページ

 このボタンをクリックすると、JFCan-do“まるごとCan-do両方に自動的にチェックが付きます。サイトにあるすべてのJFCan-doを検索対象に含むことができ、これまでより更に多くのCan-doを見ることができるようになりました。

まるごとCan-doを含む検索結果ページの画像
“まるごとCan-doを含む検索結果ページ

“まるごとCan-do”が教科書のどこに使われているか検索してみよう!

 「みんなのCan-doサイト」では、Can-doについての詳しい情報を、各Can-doの詳細画面で見ることができます。
 “まるごとCan-doの、詳細ページのTips欄には『まるごと』の“もくひょうCan-doの番号が載っています(下の図の赤い囲み部分)。この番号を頼りに、教科書に具体化されている活動例を探すことができます。

まるごとCan-do詳細ページの画像
“まるごとCan-do詳細ページ

今後も追加予定!新しいCan-doに注目!

 「みんなのCan-doサイト」では、今後も新しいCan-doを追加していきます。2014年6月に刊行予定の『まるごと 日本のことばと文化』初級1(A2)に合わせた“まるごとCan-doなど様々な新しいJFCan-doを作成して順次公開していきます。今後も「みんなのCan-doサイト」と『まるごと』をご活用ください!


各種お問い合わせは下記の宛先からお願いします。
“まるごとCan-do”や「みんなのCan-doサイト」について:https://jfstandard.jp/cando/inquiry/input/ja/render.do
『まるごと 日本のことばと文化』について:marugoto@jpf.go.jp
(メールを送る際は、全角@マークを半角@マークに変更してください。)

<関連サイト>
「JF日本語教育スタンダード」 http://jfstandard.jp/
『まるごと 日本のことばと文化』公式ポータルページ http://marugoto.org/
  1. ※1CEFRとは「Common European Framework of Reference for Languages: Learning, teaching, assessment」の略称。
  2. ※2『まるごと 日本のことばと文化』についての詳細は、2013年9月30日掲載の「日本語教育ニュース」をご覧ください。
  3. ※3『まるごと』の学習目標"もくひょうCan-do"は『まるごと』の内容一覧に挙がっています。内容一覧は「JF日本語教育スタンダードサイト」のまるごとページからダウンロードできます。
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