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やってみよう!日本語初学者向けアプリ
「エリンと挑戦!にほんごテスト」

日本語教育ニュース
このコーナーでは、国際交流基金の行う日本語教育事業の中から、海外の日本語教育関係者から関心の高いことがらについて最新情報を紹介します。

国際交流基金日本語国際センター

 国際交流基金日本語国際センターでは、海外の中等教育の学習者が、楽しく、気軽に、日本語と日本に触れ、学び、テストで確認できるアプリ「エリンと挑戦!にほんごテスト」1を制作しました。
 このアプリは、日本の中学・高校に相当する海外の中等教育の学習者のうち高校生の日本語初学者を主な対象としています。彼らの多くは、学習時間や授業時間外に学ぶ教材が限られているため、ひらがなやカタカナを覚えるのが大変だったり、話したいと思っても、日本語でコミュニケーションする機会が充分に持てなかったりしています。その一方でスマートフォンを通じて、日本の音楽やアニメなどの文化に親しんでいます。そんな学習者向けのアプリです。

特徴

 このアプリは、「自分の学びの過程や成果を見える化」することで、学習に意欲的に取り組めるように、テストを取り入れました。テストというと、序列化したり、選抜したりするためというイメージが強いですが、このアプリのテストは、自分で学びの進歩を確認して、次の目標を立てるためのものです。「エリンと挑戦!にほんごテスト」は、そのような、学習者の自律的な学びを支援したいと考えて制作しました。

  • スマートフォンアプリなので、自分の学びたい時に気軽にできます。
  • ゲーム形式なので、楽しく繰り返し学習ができます。
  • ローマ字表記がついているので、ひらがなやカタカナを全部覚えていなくても始められます。
  • 数種類のテストを通じて、自分がどのくらい日本語を覚えたか確認できます。
  • テストを受けると、成績証明書や写真に重ねるフレームがもらえます。

2つのセクション

 このアプリは、図のように次の2つのセクションで構成されています2

ホーム画面の画像
ホーム画面

Let's Try!

 ゲームで楽しく語彙や表現を学ぶセクション

TEST

 Let's Try!で学んだ語彙や表現の理解度を確認するセクション

 「 Let's Try!で学び、TESTで確認する」この2つのセクションからなるサイクルを通して、日本語の語彙や表現を着実に身につけることができます。では、2つのセクションをもう少し詳しく見てみましょう。

Let's Try!

 Let's Try!には、春夏秋冬の4つの季節があり、日本の学校に合わせて春から始まります。下図は、春の画面です。STARTからGOALまでに、10ステージがあり、各ステージのイラストにさわると、問題が始まります。1つの季節には、10のステージがあるので、Let's Try!全体で40のステージに挑戦することができます。

Let's Try! - 春ステージマップの画像
Let's Try! - 春ステージマップ

 1つのステージは次のような流れで進みます。

  1. KOTOBA 1~3で、高校生にとって必要な基礎語彙を学びます。
  2. MANGAで場面を見ながら表現を学び、声に出して言ったり、音声を聞いたりします。
  3. BUNKAで、クイズに答えながら日本についての知識を深めます。
  4. 最後のSTAGE TESTで、どのぐらいわかったか、覚えたかをすぐに確認します。

カードゲームメニュー
Let's Try! – ステージ内

KOTOBA1、2、3

 KOTOBA1では、同じ絵のカードを2枚選びます。正解すると揃ったイラストが表す単語が音声で聞こえ、ひらがなも表示されます。こうして語彙を覚えます。KOTOBA2はコロケーションゲームで、その動詞とよく使う語彙のイラストを選び、文を作ります。副詞の問題もあります。KOTOBA3はイラストマッチングで、文字カードと同じ意味のイラストカードを選びます。

  • KOTOBA1の画像
  • KOTOBA2の画像
  • KOTOBA3の画像

KOTOBA 1,2,3

MANGA

MANGAの画像
MANGA

 次は、MANGAで表現を学びます。まず、日本の高校生の日常をマンガで見ます。そして、場面にふさわしいセリフを選択肢の中から選び、学習者自身が声に出して答えます。日本語らしく言えたかどうかをアプリが判定します。この判定で合格をもらったら、日常でも自信を持って話すことができるのではないでしょうか。

BUNKA

BUNKAの画像
BUNKA

 BUNKAでは、日本の学校は何月に始まるかや、日本の高校生はアルバイトするかなど日本の高校生活や日本についてのクイズに答えます。日本についての知識を増やすことで、話すための話題も増やせます。図は、学校のチャイムの音をあてるクイズです。スピーカーをさわると、実際に音が聞こえるので、楽しさ倍増です。

STAGE TEST

 ステージの最後は、STAGE TESTです。ステージの中で出てきた問題の中から20問が出題され、4つの選択肢の中から正解を選びます。イラストはありませんから、その語彙の意味をしっかり覚えていないと答えられません。時間制限はありませんので、自分のペースで、理解を確認しながら受けられます。このテストでは80%を合格のラインとしています。合格すると「よくがんばりました」のスタンプが表示されます。テストは何度でも受けられますので、80%に達しなければ、そのステージに戻って復習をして、そしてまたSTAGE TESTにチャレンジすることができます。

  • STAGE TEST1の画像
  • STAGE TEST2の画像
  • STAGE TEST3の画像

STAGE TEST

TEST

 もう1つのTESTセクションには、毎週8つのテストが用意されています。Let's Try!で学んだことがランダムに出題され、4つの選択肢の中から正解を選びます。

 1つのテストには問題が50問あり、1問を15秒以内で答えなければいけません。STAGE TESTと違って時間制限がありますので、集中できる場所と時間を確保する必要があります。

 1回のテストは、途中でやめられません。また、1回テストが終わったら、その後1週間あけないと2回目のチャレンジができません。このように、緊張感を持って受けられるよう、工夫をしています。テストを受けると名前入りの成績証明書がもらえます。正解率が80%を超えると、「メダル付き合格証明書」がもらえます。

  • TEST1の画像
  • TEST2の画像
  • TEST3の画像

TEST

そのほかの機能や特典

ことばリスト

ことばリストの画像
ことばリスト

 アプリで出てくる語彙をまとめて表示する、辞書のような機能も付いています。ローマ字表記、ひらがなやカタカナ表記、意味の訳語の3つが見られますので、文字学習に関心がある人にも便利です。

 Let's Try!KOTOBA1~3で見た語彙や表現は、「覚えた」「まだ覚えてない」を選ぶことができ、「覚えた」を選ぶと、このリストにチェックが入ります。どのくらい覚えたか自分の学習の状況を把握して、次の目標を立てることができます。

 また、プロフィール画面では、覚えた語彙の数、TESTセクションで獲得したメダルなどが確認できます。

みんなで撮ろう!ホニゴンカメラ

 Let's Try!の各STAGE TESTを受けると、特典のホニゴンカメラが登場します。ホニゴンカメラとは、エリンやホニゴンのほか、日本ならではのイラストのフレームを、撮った写真に重ねる機能です。ステージ毎に新たなフレームが獲得でき、その数40種類!スマートフォンのカメラで撮影した写真を使用するので、自撮り写真にフレームを重ねることも可能です。出来上がった写真を保存して、Facebookにシェアすることもできます。

ホニゴンカメラの画像
ホニゴンカメラ

リリース

 本アプリは、iOS/Android版共に、まもなくリリースします。言語は、英語/インドネシア語に対応していて、ダウンロードは無料です。またランキングなど一部を除き、オフラインで使用できます。詳しくは、アプリの紹介ページ(https://app.erin.ne.jp)をご覧ください。

 このアプリを通じ、中等教育で学ぶ皆さんが楽しみながら力を伸ばし、日本語に親しむ機会がより多く得られることを願っています。学習者の皆さんに是非ご紹介ください。

(国際交流基金日本語国際センター教材開発チーム)

  1. 1 本アプリは、「エリンが挑戦!にほんごできます。 」(DVD版・Web版)の姉妹版と言えますが、共通している内容はごく一部です。本アプリで学んだ学習者が、「エリンが挑戦!にほんごできます。」に進むと、レベルとしてはちょうどよいでしょう。
  2. 2 本記事の画面は全て開発中のもので、正式リリース後の画面と一部異なります。
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