日本語教育通信 日本語教育ニュース
国際交流基金監修 NHKワールド JAPAN
「やさしい日本語(Easy Japanese)」新シリーズが始まりました

日本語教育ニュース
このコーナーでは、国際交流基金の行う日本語教育事業の中から、海外の日本語教育関係者から関心の高いことがらについて最新情報を紹介します。

2019年11月
国際交流基金日本語国際センター

 NHKの国際放送、NHKワールド JAPANが海外のリスナーに向けて17言語で放送している日本語講座「やさしい日本語(Easy Japanese)」がリニューアルされ、2019年10月から、新シリーズのラジオ放送が始まりました。国際交流基金日本語国際センターは、この新シリーズの監修を担当しました。

新シリーズの特徴

概要

「やさしい日本語(Easy Japanese)」新シリーズのトップページ画像

 「やさしい日本語(Easy Japanese)」は1課あたり10分の番組で、全部で48課からなっています。NHKワールド JAPANのラジオ番組として放送されるほか、番組のウェブサイト(やさしい日本語(Easy Japanese))から番組音声を聞いたりテキストを無料でダウンロードしたりすることができます。

  • ラジオ放送は、17言語(アラビア語、英語、ロシア語、ウルドゥー語、ベンガル語、フランス語、ハングル、スペイン語、ベトナム語、ビルマ語、ヒンディー語、ペルシャ語、スワヒリ語、中国語、インドネシア語、ポルトガル語、タイ語)、ウェブサイトはトルコ語を加えた18言語で提供されます。
  • ラジオ放送は、2019年10月7日より毎週月曜日に放送しています。時間枠はNHKの放送スケジュール【PDF:428KB】を参照してください。

対象

 東京オリンピックを機に、日本を訪れる外国人観光客はどんどん増えています。この講座は、日本に観光客として訪れる外国人で、日本で少しでも日本語を使ってみたいと思っている人を対象にしています。ですが、もちろん、今は日本に行く予定はないけれども日本語に接してみたい人や、日本語でコミュニケーションしてみたい人も、この講座で勉強することができます。

学習目標

 この新シリーズは、国際交流基金が開発したJF日本語教育スタンダード(JFS)」の理念にもとづいて制作されています。実際のコミュニケーション場面で、日本語を使って何が「できる」ようになるか、という「課題遂行」を目標にしていますので、この講座で学べば、日本に来たときに実際に使える日本語を身につけることができます。各課の目標は、日本に来た外国人が日本で遭遇しそうな場面を設定し、そこで何ができるようになるかという「Can-do」(~ができる)の形で示しています。また、言語だけではなく「異文化理解」も重視していますので、日本に来たら役立つ文化情報にも触れることができます。

レベル

 この講座は、簡単なあいさつや自己紹介など「ごく簡単なやりとりができる」レベル(JFSでいうとA1レベル)から始まり、旅行の計画や感想など「身近なことがらについて簡単なやりとりができる」レベル(JFSのA2レベル)まで勉強します。つまり、初心者として日本語の勉強を始めた人が、最終的には簡単なコミュニケーションができる日本語を身につけることができます。また、単に場面ごとに必要なフレーズを丸暗記するのではなく、日本語の文法についても少しずつ学びながら、日本語を身につけていくことができるようになっていますので、この講座を通して着実に日本語のレベルを上げていくことができます。

内容紹介

ストーリー

登場人物イラスト:左から、マイク、あやか、ミーヤー、タム(この物語の主人公)、海斗、はるさん(ロボットの大家さん)、悠輝
登場人物

 ベトナムからの留学生のタムが、東京にあるシェアハウス「はるさんハウス」の場所を探すところから、ストーリーが始まります。世話好き大家のはるさんに迎えられたタムは、シェアハウスに住む中国人写真家のミーヤー、料理好きの海斗とすぐに仲良くなります。やがて、日本文化通のマイク、大学生のあやかなども加わり、いっしょに買い物をしたり、日本料理を食べたり、旅行をしたり…と、タムは行動範囲を広げていきます。
 この講座のリスナーは、ストーリーの登場人物といっしょに日本のさまざま場所に出かけ、日本語を使っていろいろな経験ができるようになっています。全部で48課の構成です。各課の内容は、表1を見てください。

表1 タイトル・Can-do・文型一覧
タイトル(キーフレーズ) Can-do 文型
1 はるさんハウスはどこですか 場所を尋ねることができる 【場所】はどこですか?
2 タムです。学生です 名前と職業を言って自己紹介ができる 【名前/職業】です
3 ベトナムから来ました 出身地を言うことができる 【場所】から来ました
4 大学で日本語を勉強します これからすることが言える 【目的】をV‐ます
5 ラジオで勉強しました 日本語の学習経験が言える 【手段】で、勉強しました
6 この電車は池袋に行きますか 乗り物の行き先を確認できる この【乗り物】は【目的地】に行きますか?
7 ゆっくり話してください 相手に分かりやすく話すようお願いできる V-てください
8 友達のあやかさんです 友達などを紹介できる 【関係】の【名前】です
全48課のリスト【PDF:135KB】

各課の構成

 ここでは、番組のテキストにそって、各課の流れを説明します。

番組テキスト第3課「ベトナムから来ました」(p.12~14)画像
第3課

1.スキット Today’s Skit

まず初めにスキットを聞いてみます。ここでは、スキットの内容を楽しむことが目的です。入門レベルでは少し難しい表現なども入っていますが、ひとつひとつの語彙や表現が聞き取れなくても気にせずに、放送のナレーションやテキストの翻訳を頼りに、だいたいの内容がわかれば十分です。また、すでに日本語を少し学んだことがある人であれば、自然な日本語を聞き取る機会になるでしょう。スキットの会話文には、発音の助けになるようにローマ字(アクセント付き)と、簡単な単語リストが付いています。

2.Can-do!

各課の目標として、できるようになってほしいことです。毎回、学習の始めと終わりに、Can-doを意識するようにします。

3.キーフレーズ Key Phrase

Can-do達成の具体例として、スキットから該当部分を抜き出したものです。このキーフレーズを用いて、Can-do達成に必要な表現や文法についてわかりやすく説明してあります。

4.会話例 Use It!

キーフレーズを使った会話例です。日本に来たときに出合いそうな場面を設定してあるので、何回も繰り返して聞き、覚えて使えるようにします。

5.練習 Try It Out!

他の場面での練習例です。テキストには、解答も付いています。

6.役立つ表現 Bonus Phrase/Step Up

スキットの中からそのまま使える便利な表現や、数の数え方や曜日の言い方などを紹介するコーナーです。1課にひとつなので、少しずつ覚えていきます。

7.日本事情紹介

日本を旅行するときに役立つ生活情報、観光情報、グルメやポップカルチャーの情報を、その課の内容と関連付けて簡単に紹介しています。

ウェブサイトの紹介

WEBサイト第3課「ベトナムから来ました」ページ画像
第3課

 番組ウェブサイトには毎週放送された内容が1課ずつアップロードされます。ウェブサイトを使えば、次のようなことができます

  • スキットが動画で見られます。
  • 10分間の番組放送を何度でも聞くことができます。
  • テキストと音声が無料でダウンロードできます。
  • 番組のコーナーの中から、好きなところを選んで見ることができます。

 ですので、「スキットSkits」で会話文を1文ずつ聞いて繰り返したり、「練習Try It Out!」で答えを音声で確認したり、ひとりで話す練習をすることができます。また、自分にとって必要な「単語Vocabulary」「会話例Use It!」「表現Bonus Phrases」などを、自分のページ「My Haru-san」を作って保存することもできるので便利です。
 サイトはスマートフォンの画面にも対応していますから、好きな場所で、自分のペースで日本語の学習を続けていくことができます。
 なお、番組を紹介した12分の放送New "Easy Japanese" to Begin on October 7NHK WORLD-JAPAN ON Demandで聞くことができます。

(注)すべて英語版へのリンクになっていますので、サイト内で言語を選んでください。

(藤長かおる・磯村一弘/日本語国際センター専任講師)

What We Do事業内容を知る