日本語教育ニュース 「Learn Japanese from the News ダイアローグ教材」ができました!
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- このコーナーでは、国際交流基金の行う日本語教育事業の中から、海外の日本語教育関係者から関心の高いことがらについて最新情報を紹介します。
2024年10月
国際交流基金日本語国際センター
「みんなの教材サイト」に、「Learn Japanese from the News ダイアローグ教材」が新しく加わりました。
この教材は、日本の会社で働くロンさんを中心に、ロンさんを取り巻くまわりの人たちとのやりとりを描いています。日本で生活をしている人や、仕事をしている人、生活をしたいと考えている人が、ダイアローグ(会話)を通して、日本の生活を知ったり、日本語でできることを増やしたりする教材です。JF日本語教育スタンダードのCan-doを活用して作られていますので、課題遂行型の授業(コミュニケーション課題の達成を目指した授業)や活動で活用しやすい教材となっています。レベルはA2からB1です。ダイアローグのほか、ダイアローグで使われたことばや表現に関する解説や、ダイアローグの理解を確認するクイズなどもあります。
この教材は、NHKワールド JAPANで放送されているLearn Japanese from the Newsの関連コンテンツとして番組のウェブサイトで公開されたもののうち、国際交流基金日本語国際センターが作成した48のダイアローグ教材(2022年4月4日から2023年3月27日公開のニュースに関連)を、株式会社NHKエデュケーショナルの協力を得て、教材サイト用に一部編集して掲載しています注1。
登場人物と場面
主要な登場人物は6人います。主人公のロンは、日本企業で働き始めて1年くらいです。ロンの上司や同僚、ロンが住んでいるアパートの住人など、ダイアローグの登場人物は、日本で生活や仕事をしている人、生活や仕事をしたいと希望する学習者にとって、共感ができる人々になるようにと考えました。場面は主に、仕事の合間のちょっとした会話や休憩時間の雑談、近所の人との交流場面などです。全48のダイアローグは連続した物語ではありませんが、ロンの成長や周りの人との人間関係の変化が読み取れるようにデザインしています。
ダイアローグの登場人物
教材を確認
本教材は「みんなの教材サイト」の中の「教室活動」の中にあります。最初に教材サイトのトップページで「素材を探す」をクリックします。
次の画面で「教室活動」をクリックします。
「Learn Japanese from the News ダイアローグ教材」をクリックします。
コンテンツをみてみよう!
「Learn Japanese from the News ダイアローグ教材」のトップページには、まず登場人物の紹介があり、その下に48のタイトルと場面のイラストがあります。こちらをクリックすると、それぞれのダイアローグ教材に行くことができます。
各教材には、場面の紹介、イラスト、ダイアローグ、クイズがあります。
それでは、#1「日本語のメール」を見てみましょう。まずこれから学ぶ場面とイラスト、目標となるコミュニケーション課題の確認ができます。1つのダイアローグに、1つのコミュニケーション課題が書いてあります。#1では「この会話を通して、自分ひとりでは読めない日本語のメールなどについて、ほかの人に質問できるようになること」を目指します。
#1の場面とコミュニケーション課題
そして、その下に、想定される場面のやりとりの例とその音声を聞くことができるダイアローグがあります。
#1のダイアローグ
ダイアローグは、実際の社会でのコミュニケーションに役立てられるように考えられており、それぞれ1つもしくは2つのキーフレーズが入っています。★のしるしがキーフレーズです。これは、コミュニケーション課題達成のために必要な表現や語彙で、大切なポイントとなる箇所ですので、解説もついています。緑の+ボタンを押すと解説を見ることができます。
それぞれのダイアローグ教材には、ダイアローグに関する選択式のクイズがあります。クイズの種類は全体の内容を確認するもの、キーフレーズの理解を確認するもの、キーフレーズの文法・文型を確認するものがあります。
#1のクイズ
このほかにサポート教材として、「語彙リスト」「ダイアローグ解説・クイズ解答ダウンロード」「この教材を使った活動案」もあります。
この教材の使い方
教室活動で使用する場合には、ダイアローグやクイズを活用して、まずダイアローグの内容を理解し、次にコミュニケーション課題達成のために必要な表現や語彙を学び、ペアなどで話す活動をすることができます。
ほかにも、課題達成だけではなく、それぞれのダイアローグの特徴に注目して教室活動を考えることができます。サイトでは、「この教材を使った活動案」で、2つの活動案を紹介しています。
活動案1は、まとまりのある話ができることが求められるB1レベルに必要な、話題の展開の仕方などをクラスで一緒に考える方法です。
活動案2は、ほかの人のコミュニケーションを手助けする(仲介)方法を学びます。ダイアローグを見たり聞いたりして、どのように手助けをしているのかを見つけて、グループで話し合わせることができます。
これらの活動案もぜひ参考にしてみてください。
そのほか、学習者が自習で使う場合には、状況設定と大切な語彙を確認したあと、ダイアローグを読んで、クイズでその理解を確認し、各フレーズについている音声で、発音の確認をしたり、音声を使って話す練習をしたりするとよいでしょう。
終わりに
教材では、日本での生活や仕事で実際に起こりそうな場面を取りあげていますので、実践的なコミュニケーションを学びたい人にぴったりです。昨今、Can-doの達成を目標とした課題遂行型の授業デザインが注目されています。ぜひ本教材も活用していただければと思います注2。
注:
- 1.Learn Japanese form the NewsはNHK のNews Web Easyで放送されたやさしい日本語のニュースをもとに日本語と日本の生活情報を提供する番組です。
- 2.詳細は菊岡・山本ほか(2024)JF日本語教育スタンダードを活用した生活者向けダイアローグ教材の開発と活用 -「Learn Japanese from the News」の関連コンテンツとして(日本語教育論集 第20号掲載)をご参照ください。
(山本実佳/日本語国際センター日本語教育専門員)