日本語教育ニュース 高校生・大学生を対象としたコンピテンシーを育むための研修を関西国際センターで実施しています!

日本語教育ニュース
このコーナーでは、国際交流基金の行う日本語教育事業の中から、海外の日本語教育関係者から関心の高いことがらについて最新情報を紹介します。

2026年3月
国際交流基金関西国際センター

1. はじめに

国際交流基金では、日本とASEANの次世代の交流促進と人材育成を目的とする包括的な人的交流事業「次世代共創パートナーシップ-文化のWA2.0-」を展開しています。その一環として、国際交流基金関西国際センターでは、日本語パートナーズが派遣されている国・地域の高校生、大学生を対象とした短期訪日研修を2024年度より実施しています。

この研修では、海外で日本語を学ぶ学習者に訪日の機会を提供することで日本への理解を一層深め、日本語学習の継続を奨励すること、さらに、次世代を担う若者が多様な背景を持つ同世代の仲間と学び、交流することを通じて、グローバル社会を生き抜くために必要とされるコンピテンシー(資質・能力)を身に付けるきっかけとなる場を提供することを目指しています。

その背景には、21世紀に入り、グローバル化が進み、多様化、複雑化する社会において、人と対話する力、協働する力、問題の解決を図る力といったコンピテンシーを育むことが教育において重要視されているという世界の流れがあります。

本記事では、コンピテンシーの育成を目指して実施した高校生、大学生を対象とした各研修のコースデザインや活動の内容、授業の様子などについて報告します。

2. 高校生を対象とした研修

高校生を対象とした研修「日本語パートナーズ派遣事業カウンターパート学習者訪日研修・高校生」(以下、CP高校生研修)では、"OECD Future of Education and Skills 2030”プロジェクトから着想を得て、テーマを「ウェルビーイング -自分もみんなも 今も未来も しあわせな世界-」としました(注1)。そして、このような世界をゴールとして共有し、一人一人が実現したい未来を思い描く力を育むことを目指して、研修をデザインしました。CP高校生研修の概要は次の通りです。

CP高校生研修の概要
期間 16日間 ※年1回実施
定員 24名
対象の国・地域 7か国・地域(台湾、インドネシア、タイ、フィリピン、ベトナム、マレーシア、ラオス)
参加条件 対象となる国・地域の高等学校で、日本語を学習している高校生
日本語レベル 日本語能力試験N5、またはJF日本語教育スタンダードにおけるA1レベル以上の運用能力を有する者

研修を通して強化したいコンピテンシーとして、以下の4点を定めました。これらは、海外で日本語を学ぶ高校生が多様な背景を持つ同世代の仲間と交流する中で育めるコンピテンシーだと考えたからです。

  1. A:多様な文化や考えを理解し、尊重する力
  2. B:自分事として捉え、多角的な視点で考える力
  3. C:互いの良さを認め合い、協働して目標を達成する力
  4. D:自らの行動・考えを振り返り、次に生かす力

そのうえで、本研修の目標は下記の4点を設定しました。

  1. (1)日本の文化社会、及び自文化への理解を深める
  2. (2)同世代の仲間、日本の人々と交流する
  3. (3)相互理解のためのコミュニケーション能力を高める
  4. (4)ウェルビーイングな世界を想像して自分が実現したい未来を思い描く

CP高校生研修のスケジュールは以下の通りです。

1日目から16日目までの午前と午後に分かれた高校生研修の内容を示した表
上の画像をクリックすると拡大表示されます

本表は、1日目から16日目までの高校生研修の研修スケジュールを午前・昼休み・午後の枠で示した概要です。 研修旅行や高校訪問、発表会の準備と実施の概略が確認できます。

以下は、上記画像の表の詳細データです(ここから)。※おおよその時間割で、正確な時間を表わしたものではありません。

    9時~11時50分 昼休み 13時20分~15時30分
前半 1日目 来日
2日目 開講式・オリエンテーション   アイスブレイク ウェルビーイングって何?
3日目 地域オリエンテーリング・準備 地域オリエンテーリング・行動(探索)
4日目 地域オリエンテーリング・振り返り 研修旅行・準備   研修旅行・準備
5日目 研修旅行
広島(平和記念公園・平和記念資料館・厳島神社訪問、お好み焼き体験)
京都(金閣寺・寺地町/錦市場・東映太秦映画村訪問、友禅染体験)
6日目
7日目
8日目   研修旅行・振り返り   発表会1・準備
9日目 発表会1・準備 発表会1「ウェルビーイングなまち」   自由行動
後半 10日目 高校訪問・ホームスティ・高校生との交流会・準備   文化体験
11日目 交流会・準備 高校訪問
12日目 ホームスティ(夜、日本の高校生と関西センターへ移動)
13日目 日本の高校生との交流会(各国・地域の挨拶・遊び・お菓子、協働活動、発表会、懇親会)
14日目 高校訪問・ホームスティ振り返り 学習サイト紹介   研修全体の振り返り 発表会2・準備
15日目 発表会2・準備 発表会2「ウェルビーイングな未来に向けて」   帰国準備 修了式・歓送会
16日目 帰国

(詳細データここまで)

研修の前半では、研修参加者同士が交流を通して自分や他者を知ることを大切に「地域オリエンテーリング」や「広島・京都研修旅行」などを行いました。これらの活動をグループで行いながら、訪れた場所やそこで出会った人々に目を向けることで徐々に視野を広げ、町づくりやそこで暮らす人の幸せに思いを巡らせたり、改めて自分の住む町のことを考え、前半のまとめとして「ウェルビーイングなまち -自分もみんなもしあわせなまち-」というテーマで発表会を行ったりしました。

楽しげに笑いながら、地域オリエンテーリングについてテーブルの周りを囲んで立って話し合ういろいろな国・地域の高校生
地域オリエンテーリングの共有
「ひろしま」「きょうと」で見つけたウェルビーイングなものや行動を「人にやさしい」「環境にやさしい」「町がもっと好きになる」「歴史を大切にしている」の4つの視点から分類した図
町で見つけたウェルビーイングなもの・行動の分類
インドネシアの高校生4人が、スクリーンの左右に2人ずつ立って、自国のウェルビーイングなものについて発表している
「ウェルビーイングなまち」の発表会

研修の後半は、「高校訪問」や「ホームステイ」、「日本の高校生との交流会」などを実施し、同世代の仲間や日本の人々と交流する中で、相手の意見に耳を傾け、その考えや背景を想像しながら意見交換をしたり、お互いの良さを認め合って協力しながら一緒に活動をしたりするなど相互理解を深められるような活動を行いました。そして、研修の最後には、研修での経験を振り返り、「未来の自分やみんなのしあわせ」に目を向け、10年後どんな社会で、どう生きていたいかを考える活動として、「10年後の私へ」というタイトルで自分宛てに手紙を書きました。このような活動を通して、一人一人が実現したい未来を思い描く力を育める研修となるようにしました。

天井が高く広い室内で、中央奥のスクリーン前に4人のいろいろな国・地域の生徒が立って、日本の高校生に歓迎の気持ちを伝えている。左のホワイトボードには「ようこそ」、右のホワイトボードには「ありがとう」とあり、その前にはたくさんの生徒が座って拍手している。
日本の高校生との交流会
新聞紙を敷いたテーブルの上でインドネシア、ベトナム、日本の高校生が相談しながら、色のついた砂を画用紙にふりかけて絵を描いている。
日本の高校生との協働活動
18歳の生徒が28歳の自分に対して、ひらがなで書いた手紙の画像
10年後の自分宛てに書いた手紙

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研修に参加した高校生からは次のような声が聞かれ、研修での体験や交流を通して、これからの世界を生きていく力を育んでくれたように感じました。

マレーシア:私は自分自身と他人のウェルビーイングについて多くを学びました。たとえば、公共の場で礼儀正しさや秩序を保つ姿勢から、他人の気持ちや空間を尊重することの重要性を実感しました。

ラオス:(仕事をするとき)常に団結力を持ち、チームとして働きます。お互いの異なる考えを受け入れ、理解します。相手の考えを聞き、そして同意することを学びました。

タイ:このプログラムに参加したことで、私が今まで不安だったことにチャレンジする元気がでました。自分の考えを言ったり、ほかの人と話したりすることがもっとできるようになりました。

3. 大学生を対象とした研修

大学生を対象とした「日本語パートナーズ派遣事業カウンターパート学習者訪日研修・大学生」(以下、CP大学生研修)では、グローバル社会を生き抜く次世代の若者の育成を意識しながら、持続可能な開発目標(SDGs)の視点を取り入れ、「Well-beingな社会の実現に向けて、一人ひとり何ができるか」を考えることを目指し、研修をデザインしました。CP大学生研修の概要と参加条件は次の通りです。

CP大学生研修の概要
期間 約6週間(44日間) ※年4回実施
定員 各回20~30名 ※年間110名程度
対象の国・地域 14か国・地域(台湾、中国、インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、東ティモール、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、ラオス、インド)
参加条件 対象となる国・地域において大学に正規の学部生として在籍し、日本語科目を履修している者。専攻、専門は問わない。(※大学院生の場合は、大学院修士課程1年目に正規生として在籍し、日本語・日本語教育分野を含む日本関連の研究分野を専攻している者)
日本語レベル 申請の時点で、初級レベル修了以上の日本語力を有する者(JF 日本語教育スタンダードにおける B1 レベル程度の運用能力)

研修を通して強化すべきコンピテンシーとして、以下の8つを選定しました。

  1. A:協働する力(コラボレーション、チームワーク)
  2. B:コミュケーション能力/対話力
  3. C:社会的能力(異文化への理解・適応、キャリア形成)
  4. D:市民性(ローカル・グローバル)
  5. E:批判的能力
  6. F:問題解決能力
  7. G:創造性(クリエイティビティ、イノベーション)
  8. H:ICT & 情報リテラシー

そのうえで、研修目標は下記の(1)~(4)を設定しました。

  1. (1)日本語による課題遂行能力とコミュニケーション能力を高める
  2. (2)日本の社会・文化、自分の社会・文化の両方に対する気づきと理解を深める
  3. (3)いろいろな活動を通して、グローバル社会に必要な基礎的な力を身につける
  4. (4)日本での経験を通して、グローバル社会に寄与する未来の自分をイメージする

CP大学生研修のスケジュールは以下の通りです。

1日目から44日目までの午前と午後に分かれた大学生研修の内容を示した表
上の画像をクリックすると拡大表示されます

本表は、1日目から44日目までの大学生研修の研修スケジュールを午前・昼休み・午後の枠で示した概要です。 研修旅行や高校訪問、発表会の準備と実施の概略が確認できます。

以下は、上記画像の表の詳細データです(ここから)。※おおよその時間割で、正確な時間を表わしたものではありません。

☆はwelbeingに関連する授業

CP大学生研修のスケジュール
  午前 午後
1日目 <来日>
2日目 開講式、オリエンテーション アイスブレイク/目標設定
3日目 学習相談① /図書館ガイド [準備]大阪オリエンテーリング
4日目 はじめの一歩(初めてのグループ活動) 関西弁
5日目 大阪オリエンテーリング
6日目 <自由行動日>
7日目 [ふりかえり]大阪オリエンテーリング ☆Well-beingな社会に向けて
8日目 テーマ①ー1 食x日本 テーマ①ー2 食x消費
9日目 テーマ①ー3 食x教育 [準備]センター外活動
10日目 テーマ①ー4 食x未来の自分 文化体験①
11日目 センター外活動小学校訪問・給食体験
12日目 <自由行動日>
13日目 <自由行動日>
14日目 [ふりかえり]センター外活動 ☆食x SGDs テーマ②ー1 観光x日本の世界遺産
15日目 テーマ②ー2 観光xおもてなし 待遇コミュニケーション
16日目 テーマ②ー3 観光xオーバーツーリズム [準備]センター外活動
17日目 センター外活動広島研修旅行
18日目
19日目
20日目 <自由行動日>
21日目 [ふりかえり]センター外活動 テーマ②ー4 観光x未来の自分 ☆観光地x SGDs
22日目 テーマ③ー1 ダイバーシティx日本の社会 センター外活動地域でのバリア・/ヾリフリー探し
23日目 テーマ③ー2 ダイバーシティxバリア/バリアフリー テーマ③ー3 ダイバーシティx心のバリア
24日目 テーマ③ー4 ダイバーシティx未来の自分 中間ふりかえり ☆ダイバーシティx SGDs
25日目 日本語学習サイト紹介 [準備]センター外活動 センター外活動企業訪問
26日目 <自由行動日>
27日目 <自由行動日>
28日目 [ふりかえり]センター外活動 ☆テーマ学習のまとめ
29日目 [準備]奈良研修旅行 私の「テーマ学習」1 私の「テーマ学習」2
30日目 奈良研修旅行
31日目 [ふりかえり]奈良研修旅行 私の「テーマ学習」3
32日目 私の「テーマ学習」3 ホームビジットガイド 私の「テーマ学習」3 (グループ探索)
33日目 ホームビジット
34日目 <自由行動日>
35日目 <自由行動日>
36日目 [ふりかえり]ホームビジット 私の「テーマ学習」3 私の「テーマ学習」3 (グループ探索)
37日目 私の「テーマ学習」4
38日目 私の「テーマ学習」5
39日目 私の「テーマ学習」5 私の「テーマ学習」6
40日目 <自由行動日>
41日目 <自由行動日>
42日目 私の「テーマ学習」7 文化体験②
43日目 学習相談② 帰国説明/アンケート 修了式/歓送会
44日目 <帰国>

(詳細データここまで)

次に、CP大学生研修の主な活動について紹介します。

(1)テーマ学習

「テーマ学習」(スケジュールの黄色部分)では、コンピテンシーを強化する手法(池田他 2016)とされる内容言語統合型学習(CLIL:Content and Language Integrated Learning)(以下、CLIL)を取り入れて、コースデザインと教材開発を行いました(注2)。

「テーマ学習」で取り上げたテーマは「食」「観光」「ダイバーシティ」の3つです。各テーマ4回で授業を行いました(1回2~3コマ、1コマ50分)。

「食」「観光」「ダイバーシティ」の3つのテーマについて、1回目から4回目と「センター外活動」「Well-Being」の授業で何をするかを示した表
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本表は、テーマ学習(CP大学生)のの詳細です。 3つのテーマの活動内容の詳細を確認できます。

テーマ学習
テーマ 1回目 2回目 3回目 4回目 センター外活動 Well-being
1 日本の食文化 消費 教育 未来の自分
  • 小学校訪問での給食体験
★食×SDGs
2 観光 日本の世界遺産 おもてなし オーバーツーリズム
  • 研修旅行
    (2泊3日)
★観光×SDGs
3 ダイバーシティ 日本の社会 バリア・バリアフリー 心のバリア
  • 地域でのバリア・バリフリー探し
  • 企業訪問
★ダイバーシティ×SDGs

それぞれの1回目の授業は「日本の〇〇」と題して各テーマに関する日本の社会や文化について、2~3回目は各テーマの特徴や世界共通の課題について扱います。4回目の「未来の自分」では、そのテーマに関する課題を自分ごととして捉えて、それに対する自分の考えをまとめて発信する活動を行いました。

また、テーマについてさらに理解が深められるよう、教室内での学びを教室外に広げ、実際の社会を自分の目で見て確認したり、気づきを得たりするセンター外での活動を取り入れました。

さらに、各テーマの学習の後に、「(テーマ)×SDGs」という授業を設け、「テーマ学習」で学んだことや考えたことをSDGsの視点から捉え直し、自分自身にできることを考える活動を行いました。

「観光×日本の世界遺産」の教材

「観光」と「日本の世界遺産」をテーマにした授業で使用するモノクロのテキスト。授業の目標と、授業の前にテーマについてイメージすることを描くマインドマップが載っている。
マインドマップの活動 〈知識や思考の活性化〉

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「観光」と「日本の世界遺産」をテーマにした授業で使用するモノクロのテキスト。日本の世界遺産について調べるポイントと、キーワード、情報検索をするときの注意点が載っている。
ICTを使って調べる活動 〈思考活動〉

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「観光」と「日本の世界遺産」をテーマにした授業で使用するモノクロのテキストで、調べたことを発表する時の発表のパターンが載っている。
調べたことを共有する活動 〈話す・書く・作る〉

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「ひろしま」「きょうと」で見つけたウェルビーイングなものや行動を「人にやさしい」「環境にやさしい」「町がもっと好きになる」「歴史を大切にしている」の4つの視点から分類した図
「観光×未来の自分」
[持続可能な観光にするために自分たちにできること]を考えて作ったポスター
〈話す・書く・作る〉

「観光」と「SDGs」をテ-マにした授業で使用するカラーのテキストで、「観光」で学んだこととSDGsの目標がどのような関係にあるかを整理する図が載っている。
「観光×SDGs」の教材(一部抜粋、編集)

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テーブルを4人の大学生が囲みながら、付箋に書いたことを読み上げながら、ベン図が印刷された用紙の上に貼る作業をしている。
「観光×SDGs」の授業風景

授業で作成した、たくさんの付箋が貼られているベン図
「観光×SDGs」の活動で 作成したベン図

(2) 私の「テーマ学習」<調べる×まとめる×発表する>

「私のテーマ学習」(スケジュールの水色部分)では、「テーマ学習」で学んだことをもとに、グループで興味関心があるテーマを選び、仲間と協働して調べてまとめ、発表を行う探求学習を取り入れました。活動の流れは次の通りです。

テーマを考える、計画する、調査する、結果について考える、発表を準備する、発表する、ふりかえるの7つのテーマについての活動内容を示した表

本表は、「私のテーマ学習」7つのテーマについての活動内容の概要です。

活動の流れ
活動の流れ 内容
1テーマを考える テーマ学習のふりかえり、リサーチクエスチョンの設定
2計画する 情報収集の方法検討
3調査する 本やインターネットからの情報収集、インタビュー、観察、体験、中間報告
4結果について考える 収集した情報の分析、考察
5発表を準備する 発表の構成の検討、原稿、視覚資料の準備、発表練習
6発表する 口頭発表、質疑応答
7ふりかえる 発表の動画や聴衆からのコメントシートを見ての自己評価

まず、グループでテーマを設定し、リサーチクエスチョンを立てます。そして、それを明らかにするための調査の計画を立て、計画にそって情報を集めます。資料を探して読んだり、インタビューをして意見や経験を聞いたり、実際に体験・観察したりします。その後、集めた情報を整理し、さまざまな視点から分析と考察を行います。そして、結果をまとめ、口頭発表を行います。最後に、「私のテーマ学習」の学びのプロセスを振り返ります。

大きなスクリーンの左に二人、右に一人の学生が立ち、「Well-beingな社会のために必要なこと」について発表している。
発表会の様子

2024年度カウンターパート学習者訪日研修(大学生・秋)の発表タイトルとスケジュールが書かれたプログラム
発表会プログラム

上の画像をクリックすると拡大表示されます

本表は、カウンターパート学習者訪日研修(大学生・秋)の発表会の内容の概要です。 発表会の時間や発表内容の概略が確認できます。

画像に掲載されて文字情報が続きます

2024年度カウンターパート学習者訪日研修(大学生・秋) 発表会プログラム
日時: 2024年11月8日(金曜日) 13時20分~16時
於:国際交流基金関西国際センターホール
13時20分 開会

[発表1]
  タイトル グループ名
13時25分 オーバーツーリズムとゴミ問題 たいへんても、がんばります。
13時45分 外国人に対するいじめの現状 声の形
14時05分 伝統的な食文化の明るい未来へ! もういっばい!
14時25分 家事と心のバリア 女男平等

休けい 14時45分ー15時

[発表2]
  タイトル グループ名
15時05分 研修生のためのストレスフリーのKC MissioN poSSibleーSdgs
15時25分 学校給食の現状と未来 はなチーム
15時45分 道頓堀にはオーバーツーリズムが、本当にあるのか? オーバー突破

16時05分 閉会のあいさつ

(詳細データここまで)

研修に参加した大学生の「研修のふりかえり」や「終了後のアンケート」では、次のような声が聞かれました。身近な問題をグローバルな視点から捉えることや、協働しながら課題に取り組むことの大変さと素晴らしさを体感する6週間になったようです。

インドネシア:このプログラムに参加する前、私は非常に無関心な人間で、周囲のことを気にせず、他の人のことも気にしませんでした。私は他の人と話す喜びを見つけることができました。

ベトナム:当然、意見が対立することもありますが、みんなに聞いて、違いを考えて、適切な道を一緒に見つける方法を学びました。

ベトナム:以前は、自分の価値観だけで物事を判断していたが、今では他の人の意見を尊重し、多角的に考えることができるようになりました。

タイ:以前は小さな問題なら、それほど大きな影響はないだろうと思っていました。しかし、たとえ小さなことでも、社会や世界に大きな影響を与えることがあると気づきました。

4. おわりに

本記事では、コンピテンシーの育成を目指して行ったCP高校生、CP大学生研修を紹介しました。母語や文化背景が異なる研修参加者とともに、外国である日本に身を置き、日本語で協働学習を行うことで、これからの社会で必要とされるコンピテンシーに目を向けるきっかけになったことと思います。この研修での学びを生かして、人と対話したり協働したりしながら、自分らしくグローバル社会を生き抜いていってくれることを願っています。

注:

  1. 1. “OECD Future of Education and Skills 2030”では、コンピテンシーを身につけていく先にある目標として、貧困層や生態系など社会全体に目を向け、究極的に人々が心身共に幸せな状態(ウェルビーイング)を作り出す「包括的な成長」が示されている(白井2020)。
  2. 2. CLILは、内容(Content)、言語(Communication)、思考(Cognition)、協学(Community)という4つのCを有機的に結びつける授業設計の基本的枠組みで、その授業の組み立て方式は、「知識や思考の活性化(Activating:pre-task)」→「学習内容の提示(Input:presentation task)」→「思考活動(Thinking:processing task)」→「話す・書く・作る(Output:Production task)」である。

参考文献:

  • 池田真・渡部良典・和泉伸一(2016)『CLIL(クリル) 内容言語統合型学習 上智大学外国語教育の新たなる挑戦 第3巻 授業と教材』上智大学出版
  • 白井俊(2020)『OECD Education2030プロジェクトが描く教育の未来 ―エージェンシー、資質・能力とカリキュラム―』、ミネルヴァ書房
  • 武田素子・和栗夏海(2026)「コンピテンシーを育む多国籍の高校生研修についての実践-「ウェルビーイング」をテーマに掲げて-」『国際交流基金日本語教育論集』22
  • 渡部良典・池田真・和泉伸一(2011)『CLIL(クリル) 内容言語統合型学習 上智大学外国語教育の新たなる挑戦 第1巻 原理と方法』上智大学出版

(信岡麻理・武田素子・和栗夏海・川嶋恵子/関西国際センター日本語教育専門員)

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