中央アジア文化交流ミッション
国際交流基金(ジャパンファウンデーション)では、2015年10月の安倍晋三総理大臣による中央アジア諸国歴訪を受け、中央アジアを「重点地域」の一つと位置づけ、現在幅広い分野の文化交流事業を企画・実施しています。
この一環として、様々な分野の専門家・有識者で構成される文化交流使節団「中央アジア文化交流ミッション」を中央アジアに派遣し、中央アジアの文化・社会事情を視察するとともに、有識者等との意見・情報交換を行います。
世論調査の結果では中央アジアの人々の日本に対する好感度は高く、また日本でもロマン溢れるシルクロードの国々に憧れを抱く人が多くいると言われる一方で、お互いについての具体的な知識や情報は少ないのが現状です。集中的に多岐にわたる文化交流事業を実施することで、お互いに対する漠然とした好印象を、確かな相互理解につなげ、また共通の課題に共同で取り組むことで、「遠くて遠い国々」を「遠くて近い国々」にしていくことを目指します。
文化交流使節団「中央アジア文化交流ミッション」 概要
【メンバー】 (計8名、敬称略、五十音順)
- 安藤 裕康 (国際交流基金理事長)
- 河東 哲夫 (Japan and World Trends 代表、元駐ウズベキスタン大使)
- コシノ ジュンコ (デザイナー)
- 小松 久男 (東京大学名誉教授、東京外国語大学世界言語社会教育センター特別教授)
- 嶌 信彦 (ジャーナリスト、日本ウズベキスタン協会会長)
- 中山 恭子 (参議院議員、元駐ウズベキスタン大使)※第2弾、第3弾は都合により不参加
- 西原 鈴子 (特定非営利活動法人日本語教育研究所理事)
- 矢内 廣 (ぴあ株式会社代表取締役社長)※ 都合により不参加
写真:髙木あつ子
写真:相川健一
※写真は、第3弾参加ミッション・メンバー:左から、安藤、河東、コシノ、小松、嶌、西原 各団員
【派遣国】 中央アジア5か国 (ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン)
- 第1弾:2016年8月2日~5日 ウズベキスタン
- ウズベキスタン訪問中には、ウズベキスタン側の有識者・文化人たちとの会議に加え、今後日本とウズベキスタンの連携のキーパーソンとなって国づくりを担っていくことが見込まれる、様々な分野で活躍中のウズベキスタンの若い世代のリーダーたちとの意見交換の機会を設けました。また、和太鼓パフォーマンス公演視察、日本人墓地参拝と抑留者資料館訪問、さらにはこの5月から日本のテレビドラマ『カーネーション』の放送を始めているウズベキスタン国営テレビ等を訪問しました。
- 第2弾:2017年4月19日~23日 トルクメニスタン
- 日本においてトルクメニスタンの文化情報及び交流が乏しいことから、トルクメニスタン側の専門家たちとの面談に加え、美術館・博物館、及びトルクメニスタンを代表する施設を訪問したほか、4月22日が日・トルクメニスタン外交関係樹立25周年記念日であることから、21日に記念イベントとして、コシノジュンコ氏のファッションショー映像の上映とトルクメニスタンのファッションショーを同時に開催したファッションイベント、及び記念式典に参加しました。また、近年トルクメニスタンでは日本語教育に対する興味が高まっていることから、アシガバット市内で日本語教育を実施している大学等の学校訪問も行いました。
今回は、近世の中央アジアを舞台とした漫画『乙嫁語り』の作者・森薫氏も同行し、新たな交流のあり方を模索します。
森薫氏は、19世紀半ばの中央アジア及びカスピ海周辺地域を舞台として、厳しい自然の中を生きる人々の生活と文化に焦点を当てた漫画『乙嫁語り』(おとよめがたり)を、2008年10月より『ハルタ』(KADOKAWA)に連載開始しました。
※イラストは、ミッション同行者の森薫氏。
『乙嫁語り』は2011年にマンガ大賞2011の2位受賞、2012年に第39回アングレーム国際漫画祭世代間賞、2013年にマンガ大賞2013の2位受賞、2014年にマンガ大賞2014で大賞を受賞しました。
2014年7月には、『乙嫁語り』が中央アジアを舞台にしている事が縁で、外務省の「中央アジア+日本」対話10周年を記念したイメージキャラクターを手掛け、交流促進に貢献しています。
森先生には、今般、トルクメニスタンを初めて訪問いただき、現地で様々な交流をしていただきました。 - 第3弾:2017年11月1日~7日 タジキスタン、キルギス、カザフスタン
- 今回のミッションでは、前半にメンバーを2グループに分け、タジキスタンとキルギスに派遣した後、後半にカザフスタンで両グループが合流しました。まず、タジキスタン、キルギスでは、特に若者層において日本のアニメ、漫画、音楽等が楽しまれているにも関わらず、文化交流としてはまだまだ不十分なのが現状です。そのため、両国訪問中には、現地の有識者・文化人の方々との面談・意見交換に加え、文化イベントを開催しました。タジキスタンにおいては、現地の伝統衣装披露に加え、コシノジュンコ氏と、現地の著名なデザイナーであるNafisa IMRANOVA氏並びにSattorov KHURSHED氏によるミニファッションショーを、キルギスにおいては各ミッション・メンバーによる講義、セミナー等を開催しました。
また、カザフスタンにおいては、アスタナ万博により高まった日本との友好関係がさらに強化されるように、同地において有識者・文化関係者らとの意見交換を行うと共に、各種講演会等のイベントも開催しました。加えて、和太鼓パフォーマンス・グループDRUM TAOによる公演も開催し、多く現地の方に日本の文化を楽しんでいただく機会を提供しました。 - フォローアップ事業:2019年1月15日 中央アジア公開セミナー「中央アジアの歴史と文化を語る」(東京)
- 中央アジア5か国(カザフスタン、ウズベキスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン)から専門家を1名ずつお呼びして、各国の歴史や文化についてお話しいただきます。
中央アジアとの交流拡大に向けた国際交流基金の取り組み例
文化芸術交流
和太鼓パフォーマンス・グループ DRUM TAO 中央アジア初公演
世界22か国で700万人を動員してきた和太鼓パフォーマンス・グループ、TAOの中央アジア初公演をウズベキスタンの首都、タシケントのナボイ劇場で実施。
http://www.jpf.go.jp/j/project/culture/perform/oversea/2016/07-02.html
カザフスタンでもアスタナで公演を実施。
http://www.jpf.go.jp/j/project/culture/perform/oversea/2017/10-02.html
テレビ番組交流(2015年度~)
中央アジアの一般市民が楽しめる日本の優れたテレビ番組の放映を通じ、生きた日本文化・社会を広く紹介するため、ドラマ、アニメ、ドキュメンタリー、教育番組、地方紹介番組等を提供。
http://www.jpf.go.jp/j/project/culture/media/tv/index.html
展覧会開催
生活に身近な日用品のデザインを紹介する「現代日本のデザイン100選」(カザフスタン、キルギス)、日本の伝統工芸をテーマとした「手仕事のかたち―伝統と手わざ」展(キルギス)、「日本の現代写真-1970年代から今日まで」展(トルクメニスタン、タジキスタン)、日本の現代建築をテーマとした「パラレル・ニッポン―現代日本建築1996~2006」展(トルクメニスタン)、若手作家による現代美術をテーマとした「未来への回路−日本の新世代アーティスト」展(ウズベキスタン)を各1か月程度開催し、幅広い日本文化を中央アジアに紹介。
http://www.jpf.go.jp/j/project/culture/exhibit/traveling/index.html
「中央アジア+日本」第9回東京対話 ミニ映画祭
中央アジア文化交流ミッションのフォローアップを兼ね、外務省主催「中央アジア+日本」第9回東京対話「知られざる中央アジア:その魅力と日本との絆」に共催し、「ミニ映画祭」の一部を国際交流基金本部にて実施。タジキスタンとキルギス映画を上映。
武道団派遣
剣道・柔道・空手の武道家を中央アジア5カ国に派遣します。派遣先では一般市民対象のデモンストレーションと、専門家対象のワークショップ・指導を実施。
日本語教育
日本語学習者招へい
中央アジア5か国から日本語を学習する学生計102名を2回に分けて各2週間招へい。
https://kansai.jpf.go.jp/ja/news/2016/06/post-146.html
日本研究・知的交流
文化遺産シンポジウム開催
中央アジア5か国から専門家と日本の専門家による、シンポジウム「ひもとく、つなぐ~中央アジアの文化遺産~」を開催。
プレスリリース
- 中央アジア文化交流ミッション第三弾
11月にタジキスタン、キルギス、カザフスタンを訪問
コシノジュンコ氏らミニファッションショー、DRUM TAO 和太鼓公演も開催 - 中央アジア文化交流ミッション第二弾 トルクメニスタンへ 『乙嫁語り』の漫画家・森薫氏も同行
[お問い合わせ]
国際交流基金(ジャパンファウンデーション)
企画部 事業戦略課 担当:日下部、山﨑
電話:03-5369-6058
ファックス:03-5369-6035