Translator Spotlight 日本文学翻訳家インタビュー・シリーズ
日本文学が世界各地で親しまれるためには「文芸翻訳家」の存在が不可欠です。しかしながら、日本文学の作品が近年海外で注目されつつある一方で、その立役者である翻訳家の仕事にはこれまであまりスポットライトが当たってきませんでした。国際交流基金(JF)は、日本文学を外国語に翻訳する世界の翻訳家6名※にインタビューを実施し、言葉によって異文化を繋ぐ「架け橋」とも言うべき彼らの仕事に迫りました。日本語や日本文学との出会いから文芸翻訳家を志すまで、その仕事の裏側にある苦労と情熱、日本文学を伝えることの意味とは、そして日本文学や日本の作家が持つ魅力、これから翻訳したいと注目している作品とは――国際文化交流の最前線に立つ翻訳家たちの声とその仕事を伝えるインタビューです。
※令和2~3年度のオンライン配信事業「More than Worth Sharing―翻訳家座談会シリーズ」に参加した翻訳家計23名のうち、今回は6名の方にインタビューに応じていただきました。
- 配信URL:日本文学翻訳家インタビュー・シリーズ〜Translator Spotlight〜(2022年9月30日より公開)
- 使用言語:日本語(一部英語)(日英2か国語字幕つき)
翻訳家プロフィール
(c) Nippon Connection
リュック・ヴァンホーテ(Luk Van Haute)
1963年生まれ、ベルギー在住。東京大学で日本文学を研究後、ノーベル文学賞受賞者・大江健三郎の作品に関する論文でゲント大学博士号取得。大江作品に加え川端康成、村上春樹、川上弘美ほか30冊以上の日本文学作品をオランダ語に翻訳。日本の現代短編小説42作品からなる文学選集の編纂・翻訳も手掛ける。
執筆者として、日本に関する単著2冊を上梓。日本の文化や社会について、新聞雑誌などに多数寄稿しているほか、大学での講義も行っている。
動画公開日:2022年9月30日
黃 碧君(ふぁん びじゅん/Huang Bijun)
1973年生まれ、台湾の本まわりの情報発信などを行うユニット「太台本屋 tai-tai books」代表。台湾生まれ、日本在住。中国語正体字(繁体字)を扱う。主な訳書は、三浦しをん著『舟を編む』(新經典文化、2013年)、柴崎友香著『春の庭』(聯經出版、2015年)、小川洋子著『妄想気分』(時報出版、2017年)、乃南アサ著『六月の雪』(聯經出版、2019年)、川本三郎著『「男はつらいよ」を旅する』(新經典文化、2019年)など。
動画公開日:2022年10月7日
(c) Michaela Weber
カティア・カッシング(Katja Cassing)
1970年生まれ、ドイツ在住。カティア・ブソン(Katja Busson)のペンネームでも活動。ドイツ・トリーア大学と早稲田大学で日本学及び英語・英文学を専攻。トリーア大学にて日本学博士号取得後、長年にわたり『和独大辞典』の編纂に専念。現在は出版社Cass Verlagを経営しながら、東野圭吾、藤原伊織、谷崎潤一郎、車谷長吉、町田康、宮下奈都、青山七恵、川上未映子の作品など、数多くの日本文学作品をドイツ語に翻訳している。
動画公開日:2022年10月14日
ムティター・パーニッチ(Muthita Panich)
2005年より日本の文学・フィクション作品のタイ語翻訳を手がける。主な訳書に、多和田葉子著『犬婿入り』(2014年)、『献灯使』(2019年)、村上春樹著『1Q84』(共訳、2011年)、『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』(2014年)、『村上春樹、河合隼雄に会いにいく』(2018年)、阿部和重著『IP/NN 阿部和重傑作集』(2014年)、阿部和重・伊坂幸太郎著『キャプテンサンダーボルト』(2017年)(いずれもGamme Magieより出版)、松浦理英子著『裏バージョン』(Earnest Publishing、2016年)。翻訳家としてだけではなく、通訳としても活動している。
動画公開日:2022年10月21日
(c) KIT NAGAMURA
竹森 ジニー(Ginny Tapley Takemori)
英国出身、2002年より日本在住。多くの近現代日本文学の翻訳を手がけている。村田沙耶香著『コンビニ人間』(Grove Atlantic及びGranta、2018年)は、2020-2021リンズリー&マサオ・ミヨシ賞を受賞。主な訳書は、中島京子著『小さいおうち』(Darf Publishers、2019年)、村田沙耶香著『地球星人』(Grove Atlantic及びGranta、2020年)、中島京子著Things Remembered and Things Forgotten(共訳、Sort of Books、2021年)。最新の訳書は、村田沙耶香著『生命式』(Grove Atlantic及びGranta、2022年)。
動画公開日:2022年10月28日
パトリック・オノレ(Patrick Honnoré)
日本の現代文学、漫画などのフランス語訳を手掛ける。2016年よりパリ第3大学ESIT日仏翻訳講師。水木しげる著『のんのんばあとオレ』の翻訳(コーネリウス社、2006年)により2007年アングレーム国際漫画祭最優秀作品賞、リリー・フランキー著『東京タワー―オカンとボクと、時々、オトン―』の翻訳(フィリップ・ピキエ社、2010年)により第17回日仏翻訳文学賞を受賞。川上未映子、古川日出男、内田百閒、夢野久作の作品など、数多くの日本文学作品を翻訳している。
動画公開日:2022年11月4日
インタビュアープロフィール(敬称略)
写真:根津千尋
金原 瑞人(かねはら みずひと/ Kanehara Mizuhito)
1954年岡山市生まれ。法政大学教授・翻訳家。訳書は児童書、ヤングアダルト小説、一般書など600点以上。訳書に『不思議を売る男』(偕成社、1998年)、『青空のむこう』(求龍堂、2002年)、『パーシー・ジャクソン・シリーズ』(共訳、ほるぷ出版)、『ブラッカムの爆撃機』(福武書店、1990年)、『国のない男』(NHK出版、2007年)、『月と六ペンス』(新潮文庫、2014年)、『彼女の思い出、逆さまの森』(新潮社、2022年)など。エッセイ集に『翻訳はめぐる』(春陽堂書店、2022年)など。日本の古典の翻案に『仮名手本忠臣蔵』(偕成社、2012年)、『雨月物語』(岩崎書店、2012年)など。ウェブサイトはhttp://www.kanehara.jp/
※敬称略
[お問い合わせ]
国際交流基金(JF)
文化事業部 企画調整・文芸チーム
電話:03-5369-6060