国際シンポジウム 「世界とつながる日本文学 ~after murakami~」

国際交流基金(JF)は、2023年10月28日(土曜日)、国際シンポジウム「世界とつながる日本文学 ~after murakami~」を早稲田大学国際会議場で開催します。
遡ること2006年、JFは世界各国から日本文学の翻訳者を招へいし、「国際シンポジウム&ワークショップ 春樹をめぐる冒険—世界は村上文学をどう読むか」を開催しました。この2006年シンポジウムでは、日本語から各言語への訳し方を比較しながら、各国・各地域における村上春樹作品の人気がどのような社会的背景のもとに高まったのか、また村上春樹作品の普遍性と多様性について、議論が交わされました。
それから15年以上が経過した現在、多くの現代日本文学作品が世界で親しまれています。そこで、今回のシンポジウムでは、海外の作家や表現者の視点から、村上春樹作品を起点としながらも、より広く現代の日本文学全般がこの15年ほどの間にいかに「国際化(普遍化)」したのかについて、議論を深めます。
開催概要
事業名称 | 国際シンポジウム |
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「世界とつながる日本文学 ~after murakami~」 | |
主催 | 国際交流基金(JF) |
共催 | 早稲田大学国際文学館(村上春樹ライブラリー)、 早稲田大学柳井イニシアティブ、スーパーグローバル大学創成支援事業 早稲田大学国際日本学拠点 |
開催日程 | 2023年10月28日(土曜日) 10時30分~17時 [開場:9時45分] |
会場 | 早稲田大学 国際会議場 井深大記念ホール |
形式 | 対面 |
言語 | 日本語・英語(同時通訳あり) |
参加費 | 無料(要事前申込み) ※申込者多数の場合は抽選となります。 |
【一般登録】 | MyWaseda 国際シンポジウム「世界とつながる日本文学 ~after murakami~」申請ページ
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プログラム
- 10時30分 開会
- 【オープニング講演者】
ジェイ・ルービン (ハーバード大学名誉教授) - 11時 第1セッション:「新しい世代の作家にとっての日本文学」
- 【登壇作家】
アンナ・ツィマ、呉明益、柴崎友香、チョン・イヒョン、ブライアン・ワシントン - 【モデレーター】
柴田元幸(東京大学名誉教授)
13時 昼休憩
- 14時30分 第2セッション:「表現者にとっての日本文学」
- 【登壇者】
アミール・クリガー(演劇・映画作家、ドラマトゥルク、教師)、 インバル・ピント(振付家、演出家、舞台美術・衣装デザイナー)、 チップ・キッド(グラフィックデザイナー、作家)、 ピエール・フォルデス(映画監督、作曲家、画家) - 【モデレーター】
岡室美奈子(早稲田大学文学学術院教授)
17時 閉会
登壇者略歴
オープニングでは、2006年シンポジウムに参加されたジェイ・ルービン氏にご登壇いただき、今回のシンポジウムへと続く流れについての共通理解を獲得します。
ジェイ・ルービン
ハーバード大学とワシントン大学で長年教鞭をとり、2006年よりハーバード大学名誉教授(日本文学)。『ノルウェイの森』『ねじまき鳥クロニクル』『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(近日刊行予定)など、村上春樹の代表作の翻訳者。夏目漱石『坑夫』『三四郎』、芥川龍之介『羅生門 他十七篇』の英訳も手掛けた。著書に『Making Sense of Japanese』、『ハルキ・ムラカミと言葉の音楽』、小説作品『日々の光』がある。
第1セッション:「新しい世代の作家にとっての日本文学」では、村上春樹作品や日本文学に影響を受けた作家をお招きし、ご自身の読書体験や執筆活動についてお話しいただきます。
(C) Barbora Votavová
アンナ・ツィマ
小説家、翻訳家。カレル大学日本研究学科を卒業。デビュー作『シブヤで目覚めて』が2018年マグネジア・リテラ新人賞を受賞。同書の邦訳(阿部賢一・須藤輝彦共訳)が河出書房新社から2021年に出版された。2022年に第2作『うなぎの思い出』をチェコで上梓。2024年に大江健三郎『万延元年のフットボール』のチェコ語訳を出版予定。2017年より東京在住。1991年チェコ・プラハ生まれ。
呉明益
作家、アーティスト、デザイナー、写真家、大学教授、環境活動家。同世代作家を代表する存在として広く知られ、作品は20カ国語以上に翻訳されている。 『複眼人』はフランスの島嶼文学賞を受賞するとともに、ベルリン国際映画祭では「Books at Berlinale」に選ばれた。また、『歩道橋の魔術師』はフランスのエミール・ギメ「アジア文学賞」候補に、『自転車泥棒』は2018年国際ブッカー賞の候補に、それぞれ選出された。
柴崎友香
2000年に単行本第1作『きょうのできごと』を上梓(2004年に映画化)。2007年『その街の今は』で藝術選奨文部科学大臣新人賞、織田作之助賞大賞、咲くやこの花賞、2010年『寝ても覚めても』で野間文芸新人賞(2018年に映画化)、2014年『春の庭』で芥川賞を受賞。他の小説作品に『百年と一日』『待ち遠しい』『千の扉』『わたしがいなかった街で』『ビリジアン』、エッセイに『よう知らんけど日記』岸政彦との共著『大阪』など著書多数。
チョン・イヒョン
誠信女子大学にて政治学とジェンダー学を、ソウル芸術大学にて文芸創作を学び、2002年に作家として活動を開始。「文学と社会」新人文学賞を受賞。最初の短編『ロマンチックな愛と社会』は、男性優位の社会で一定の女性らしさを見せざるを得なかった女性たちの生き方をよく表現していると評価された。また、ソウルの若者たちを描いた初の小説『マイ スウィート ソウル』は、韓国の有名新聞社である「朝鮮日報」の日刊連載小説となり、テレビドラマ化もされた。韓国で50万部以上を売り上げている。大都市に住む個人の不安や、個人と社会の関係をテーマに作品を発表し続けている。李孝石文学賞や現代文学賞など、韓国の様々な文学賞を受賞。邦訳書は『マイ スウィート ソウル』(清水由希子訳、講談社)、『優しい暴力の時代』(斎藤真理子訳、河出書房新社)『きみは知らない』(橋本智保訳、新泉社)。
ブライアン・ワシントン
『Family Meal』『Memorial』『Lot』の著者。ナショナル・ブック・ファウンデーションの「5アンダー35」を始めとする数々の賞をアメリカにて受賞。PEN/Robert W. Bingham Prize、National Book Critics Circle Fiction Prizeなどの候補にも選出されている。小説は『The New Yorker』、『Granta』、『The Best American Short Stories』などに掲載。ヒューストンと大阪を行き来している。
柴田元幸 <モデレーター>
アメリカ文学研究者、翻訳家。東京大学名誉教授、早稲田大学特命教授。講談社エッセイ賞、日本翻訳文化賞、サントリー学芸賞、早稲田大学坪内逍遙大賞受賞。ポール・オースター、スティーヴン・ミルハウザー、スチュアート・ダイベック、レベッカ・ブラウンをはじめ現代アメリカ作家の作品の翻訳多数。文芸誌『MONKEY』(日本語版・英語版)責任編集。1954年生まれ。
第2セッション:「表現者にとっての日本文学」では、村上春樹作品が文学以外の芸術分野でどのように受容されているのか、どのようなインスピレーションを与えているのか、さまざまな分野の表現者にお話しいただきます。
アミール・クリガー
演劇・映画作家、ドラマトゥルク、教師。村上春樹『ねじまき鳥クロニクル』の舞台化、サラ・ケインの戯曲「4.48 Psychosis」のイスラエル初演などに加え、自身のオリジナル作品などさまざまな演劇作品の脚本、演出、デザインを手がけ、高い評価と賞を得ている。ダニ・ローゼンバーグ監督とともに脚本を担当した映画『The Vanishing Soldier』は、2023年ロカルノ映画祭など多くの国際映画祭の正式招待されるともに、イスラエル映画アカデミー賞の最優秀オリジナル脚本賞を含む11部門に選出されている。1979年イスラエル生まれ。
インバル・ピント
イスラエルの振付家、演出家、舞台美術、衣装デザイナー。手がけた作品はイスラエル・ダンス史のマイルストーンとなり、世界中で高い評価を得ている。2019年に東京でアミール・クリガーとともに舞台化した村上春樹の『ねじまき鳥クロニクル』では、演出、振付、美術を手がけた。最近ではイスラエル・オペラで長編デュオ作品『リビングルーム』の振付とルッジェーロ・レオンカヴァッロ『道化師』の演出とデザインを手がけている。
チップ・キッド
ニューヨーク市在住の受賞歴のあるグラフィックデザイナー兼作家。37年間で1,600点以上の本の表紙をデザインしている。手がけた作家は、30年以上にわたって表紙をデザインしてきた村上春樹のほか、コーマック・マッカーシー、マイケル・クライトン、カズオ・イシグロ、手塚治虫、田亀源五郎、鈴木光司などが挙げられる。
ピエール・フォルデス
映画監督、作曲家、画家。パリで育ち、ピアノ、作曲、管弦楽法を学ぶ。ニューヨークで映画や広告の作曲家としてデビューし、その後ヨーロッパに戻る。デッサン、絵画、アニメーションに熱中し、ブダペストの美術アカデミーに入学する。『めくらやなぎと眠る女』は初の長編監督作品。同作品のために特殊なアニメーション技法 "Live Animation "を考案した。同作品は2023年ブリュッセル国際アニメーション映画祭Animaで最優秀アニメーション賞、第1回新潟国際アニメーション映画祭長編コンペティション部門でグランプリを獲得した。現在は、1988年にノーベル賞を受賞したナギーブ・マフフーズの原作を映画化した『Chimères』と、猫と魔女と逆転した世界を描いた家族向けのオリジナル長編アニメーション『Bibi and the Magic Mountain』の2本のプロジェクトを進めている。
岡室美奈子 <モデレーター>
早稲田大学文化推進部参与・文学学術院教授、文学博士。専門はテレビドラマ論、現代演劇論、S・ベケット論。2023年3月まで10年にわたり早稲田大学坪内博士記念演劇博物館館長を務め、在任中に開催した企画展「村上春樹 映画の旅」は大きな話題となった。テレビドラマ、映画、演劇に関する論文やレビューを多数発表。文化審議会委員、放送番組センター理事、橋田文化財団評議員、フジテレビ番組審議会委員などを務めている。
権慧 <総合司会>
早稲田大学国際文学館助教、文学博士(東京大学)、東アジア村上春樹研究会会長。研究方向は東アジアにおける村上春樹文学の翻訳と受容。共著に『越境する中国文学 新たな冒険を求めて』(東方書店)があり、村上春樹文学関する研究論文を多数発表。NHKラジオ「英語で読む村上春樹」、TFM「村上RADIO プレスペシャル」、テレビ朝日「じゅん散歩」などに出演し、TBS『1Q84』再現シーンで「青豆」を演じた。
関連企画
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