イタリア(2020年度)

日本語教育 国・地域別情報

2018年度日本語教育機関調査結果

機関数 教師数 学習者数※
62 235 7,831
※学習者数の内訳
教育機関の種別 人数 割合
初等教育 0 0.0%
中等教育 706 9.0%
高等教育 5,639 72.0%
学校教育以外 1,486 19.0%
合計 7,831 100%

(注) 2018年度日本語教育機関調査は、2018年5月~2019年3月に国際交流基金が実施した調査です。また、調査対象となった機関の中から、回答のあった機関の結果を取りまとめたものです。そのため、当ページの文中の数値とは異なる場合があります。

日本語教育の実施状況

全体的状況

沿革

 イタリアにおける日本語教育は、19世紀後半にはフィレンツェの国立高等学校に日本語講座が開設されたことに始まる。この時期から20世紀の初めにかけ、ローマ大学、ナポリ東洋学院(現ナポリ大学「オリエンターレ」)など現在日本語学科が導入されている主要な大学で次々に日本語講座の開設が進んだ。
 20世紀末になると中等教育機関でも日本語教育が徐々に導入され始めた。エミリア・ロマーニャ州モデナ市の私立高校への導入が先駆けとなり、2000年にはピエモンテ州ノヴァーラ市のパスカル高校で正規科目として日本語が導入された。2003年にはロンバルディア州の学校局提唱プロジェクト「異文化に出会うために-ヨーロッパで中国語、日本語、アラビア語を話そう」が実施された。これは欧州統合によりヨーロッパ諸国間での文化交流がより容易になった枠を更に広げ、中国、日本、アラビアの言語及び文化に対する興味をより高めるという目的で午後の課外時間に年間 30時間+文化4時間のコースを提供するというプロジェクトであったが、これを機に課外科目として日本語を導入する高校が急増した。2009年には上記プロジェクトに参加したベルガモ市のファルコーネ高校でも日本語が正規科目になった。また同年春には前述のピエモンテ州ノヴァーラ市で、高等学校修了資格試験「maturità」において初めて、日本語が選択科目の一つとなった。さらに2011年にはローマ市内のルクレツィオ・カーロ高校でも日本語が追加科目として導入され、現在に至っている。また、2013年から2014年にかけて、教員資格試験の資格対象科目として日本語が加えられ、これまでに少なくとも10名の教員が資格を取得している。
 一方、一般向け日本語教育に目を向けると、民間の語学学校や市民大学での開講など、日本語学習の環境が多様化してきているのがわかる。2008年にローマ市民大学(UPTER)の夏期講座で初めて日本語のコースが開講、10月からの年間コースに採用されたほか、トリノ市民大学でも日本語コースが開講されている。また、2013年にはアブルッツォ州の地方銀行の財団が日本語コースを導入したり、カンパニア州アマルフィ市の日本との姉妹都市提携を機に2016年秋から観光業関係者向けの日本語コースが年1回定期的に開講されたりするなど、日本語を導入する機関や目的も多様化している。

背景

 日本文化は好意的に受けとめられており、歴史や伝統、和食、武道、映画、文学、インテリア、漢字等、日本文化への関心は高い。特に、日本のマンガやアニメは若者を中心に非常に人気があり、それがきっかけとなって日本語学習を始める人も多い。イタリアでは1970年代後半からテレビで日本のアニメが放映され始め、それを見て育った「アニメ第1世代」が今は親となり、親子2世代で日本のアニメ・マンガに親しんでいるという状況が生まれている。また、イタリアでは毎年大規模なマンガ・コミックス展(ROMICS、Lucca Comicsなど)が開催され、世界中から多くの参加者を集めている。

特徴

 高等教育機関で学ぶ日本語学習は国全体の学習者の7割を占めており、その多くが大学の日本研究科目または選択外国語科目として日本語を学んでいる。中等教育では日本語は第3外国語または第4外国語という位置付けで課外科目として学習されているケースが多い。一方、一般向け日本語教育機関は趣味や実用目的で日本語を学ぶ中高生から大学生、社会人、年金生活者など幅広い年齢層の人々の日本語学習の受け皿となっている。

最新動向

 COVID-19の感染拡大による2020年3月のロックダウン実施以降、多くの教育機関で対面授業のオンライン化やハイブリッド化が進められている。

教育段階別の状況

初等教育

 日本語教育は実施されていない。

中等教育

 後期中等教育では、日本語教育を学校の正規科目または追加科目として実施する機関と課外科目として実施する機関に分かれるが、その多くは課外科目として日本語教育を実施している。
 ベルガモ市のファルコーネ高校(Liceo Linguistico "Giovanni Falcone")では、3年コース(2010年開講、3年間合計約500時間)と5年コース(2010年開講、5年間合計約600時間)の2コースで正規科目として日本語教育が行われており、到達目標は高等学校修了資格試験「maturità」の筆記試験を意識し、読解や作文に重点が置かれている。ノヴァーラ県のパスカル高校(I.I.S. Biagio Pascal)では、3年生から5年生の生徒に対し、第3言語として週3時間日本語が教えられているが、学校の種別上、日本語による「maturità」の受験はできない。また、ローマ市内のルクレツィオ・カーロ高校 (Liceo Classico Linguistico “Tito Lucrezio Caro”) では、追加科目として第4言語で日本語が教えられているが、こちらも日本語による「maturità」の受験はできない。
 一方、課外科目として日本語教育を実施している高校は、ロンバルディア州、トスカーナ州、ウンブリア州、ラツィオ州などで計10数校が確認されている。到達目標は様々で、日本語能力試験N5、CEFRのA1、日本語と日本文化に対する興味の喚起など、学校や外国語担当者の考え方や方針によって異なる。また、学習時間数が少ないためなかなか進歩がみられない、経済的な問題で毎年一つしかクラスが開講できないため上のクラスに進みたくても進めない、異なるレベルを1つのクラスで教えなければならないといった問題を抱えている。

高等教育

 日本研究で学士が取得できる5つの大学(ナポリ大学「オリエンターレ」、ヴェネツィア大学「カ・フォスカリ」、ローマ大学「ラ・サピエンツァ」、フィレンツェ大学、トリノ大学)では日本研究専攻学生の必須科目として、また、その他の大学では選択外国語科目として、日本語が教えられている。
 2000年秋からの大学教育制度改革により、学士号取得に最低4年を必要とし、実際にはさらに長期間を要していたシステムから、3年で学士課程を終え、さらに2年で専門(修士)課程を終えるシステムと変わった。大学での日本語教育もこの制度改革の影響を受けており、日本研究専攻学科を擁する大学では、3年間で日本語の基礎的な知識を習得し、その後2年間で専門的な研究を行うための上級日本語を習得できるよう、コースの再編成を行ってきた。しかし、「3年で卒業してすぐに社会に出る者にとっては、基礎から積み上げていくようなスタイルのコースよりも、むしろ、当初から卒業後の就職・実務に役立つような実用日本語の学習に重点を置くべきではないか」との声もあり、学習の目標の設定に関する様々な議論がある。また、日本語履修者が多い大学では、学習希望者の増加に見合う教員数増強が難しいため大教室での授業を余儀なくされるなど、大学での教育環境は良好とは言えない面もある。

学校教育以外

 一般向け日本語教育では、国際交流基金ローマ日本文化会館、伊日財団、ローマ市民大学(UPTER)トリノ市民大学といった公的あるいは非営利機関で常設の日本語コースが開講されている他、民間の語学学校や日本関係の任意団体などで日本語講座が開講されている。

教育制度と外国語教育

教育制度

教育制度

 5-3-5(4)-[3-2]制。

教育制度
初等教育
(5年間)
小学校
6歳から。ただし、保護者の希望により、5歳半からの就学も可能
前期中等教育
(3年間)
中学校
後期中等教育
(5年間)
高校、以下の分類に分かれる。
高等学校(licei):古典文科系、理科系、言語系、芸術系、音楽・舞踊系、人文科学系の6種、5年制
技術高等学校(istituti tecnici):技術系、経済系に大別される11分野、5年制
職業高等学校(istituti professionali):サービス系、産業・工芸系に大別される6分野、5年制
その他、3年制の職業訓練学校
高等教育
(3年間+2年間)
大学(3年で学士課程修了、さらに2年で専門(修士)課程修了)
学士課程は建築、法学、工学、歯学、薬学、獣医学の専攻では5年間、医学では6年間となる。
学士課程修了者以上を対象として、修士には相当しないが名称の似た「master」という、より職業実践的な課程(1~2年)も設けられている。

 義務教育は2006年より、10年間、16歳までに引き上げられた。
 初等教育段階から、修了試験・落第制度がある。高校修了時には、国家試験である高等学校修了資格試験「maturità」が課せられる。合格者には各校種に応じた修了証が授与され、就職または進学のための基礎資格となる。

教育行政

 教育・大学・研究省が管轄している。

言語事情

 主要言語(公用語)はイタリア語。地域によってかなり違いのある方言が存在する。
 国境近くではフランス語、ドイツ語、スロヴェニア語も使用されている。これらの少数言語は法律によって守られており、地域によっては学校でも使用されている。その他、イタリア国内に見られる少数言語としては、アルバニア語、オック語、カタルーニャ語、ギリシャ語、クロアチア語、サルデーニャ語、フランコ・プロヴァンス語、フリウリ語、ラディン語などがある。
 昨今は、移民の増加により、イタリア語ができない生徒が増えており、その対応が問題となってきているが、2010年10月より、無期限滞在許可を得ようとする者にはイタリア語の試験が義務付けられることとなった。

外国語教育

 第一外国語には、英語が選ばれることが圧倒的に多い。英語教育を導入する幼稚園も増え、小学校でも2003年より英語が必修外国語となった。前期中等教育では第二外国語として仏・独・西のいずれかが必修となっている。
 後期中等教育における外国語教育は高校の種別により科目数等が異なり、多い方からあげれば、言語系高校ではラテン語に加えて3か国語、古典文科系高校においてはラテン語と古典ギリシャ語に加えもう1か国語が必修。人文科学系高校では2か国語ないしラテン語ともう1か国語、理科系高校では、ラテン語ないし外国語1か国語が必修となっている。
 初等・中等教育課程での教諭資格は教育・大学・研究省による資格試験に合格する必要がある。
 2013年実施の試験において、教諭資格が取得可能な外国語として、英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、ロシア語に加え、後期中等教育課程の科目として、新たに日本語がアルバニア語、スロヴェニア語、中国語、アラビア語、ヘブライ語と同時に追加された。

外国語の中での日本語の人気

 正規科目として日本語が導入されている高校では、日本語の学習は欧州言語に比べかなりの負担となるため、選択する者の数は多くないものの、着実に定着している。一方、正規科目として日本語が導入されていない機関においても「趣味」として日本語の初歩を学びたいという希望は多く、近年多数創設された課外活動の日本語授業は人気を集めている。
 このような課外活動を含め、後期中等教育機関において日本語教育の導入がもっとも広く行われているロンバルディア州では、学校単位で日本語の取り組みをウェブサイト上にアップロードして内容を競う「オンライン日本語コンクール」を2012年から実施してきた他、全米の高校生を対象とした「ジャパン・ボウル®」(ワシントンDC日米協会誌主催)のイタリア版が2017年3月から開催している。
 一方、大学でももっとも広く学ばれている外国語は英語で、次いで欧州言語(フランス語、スペイン語、ドイツ語)、ロシア語などが第2外国語として人気が高い。アジア系の言語は第3外国語として、中国語、日本語、アラビア語が人気である。大学は入学者の定員が決められているため、今後日本語学習者数の大幅な増減はないと見込まれる。

大学入試での日本語の扱い

 一般に、高等学校修了資格試験「maturità」が大学への入学資格を兼ねている。修了資格試験の科目は高等学校の分類(言語系、古典文科系、理科系など6種)により異なる。国立言語系高等学校の場合、試験は筆記試験と口頭試験からなり、筆記試験は「Prima prova」(イタリア語)と「Seconda prova」(外国語)に分かれている。この試験は州単位で実施され、試験問題も州単位で作成され、1人でもこの科目で試験を受けることを希望する学生がいれば、その州は試験を実施しなければならない。2009年にピエモンテ州において初めて日本語が選択科目に加えられた。

学習環境

教材

初等教育

 日本語教育は実施されていない。

中等教育

 『Corso di lingua giapponese』(HOEPLI)、『Introduzione alla scrittura giapponese』(HOEPLI)、『みんなの日本語』(スリーエーネットワーク)、『学ぼう!にほんご』日本語教育教材開発委員会(専門教育出版)、『初級日本語 げんき』坂野永理ほか(ジャパンタイムズ)、『新文化初級日本語』文化外国語専門学校(文化外国語専門学校)、『まるごと 日本のことばと文化』国際交流基金(三修社)等。

高等教育

   『Corso di lingua giapponese』(前出)、『Impariamo il giapponese』(HOEPLI)、『みんなの日本語』(前出)、『初級日本語』『中級日本語』東京外国語大学留学生日本語教育センター(凡人社)、『上級へのとびら-コンテンツとマルチメディアで学ぶ日本語』岡まゆみ他(くろしお出版)、『できる日本語中級』できる日本語教材開発プロジェクト(アルク)、『テーマ別上級で学ぶ日本語〈三訂版〉』松田浩志、亀田美保(研究社)、『新文化初級日本語』(凡人社)、『イタリアで学ぶ日本語』斉藤真理子(Bulzoni editore)、『J.Bridge』小山悟(凡人社)等。
 また、オリジナルのテキストを使用している大学も少なくない。

学校教育以外

 『みんなの日本語』(前出)、『JAPANESE FOR BUSY PEOPLE』国際日本語普及協会(講談社USA)、『初級日本語げんき』(前出)、『にほんごかんたん』坂起世ほか(研究社)、『初級日本語』(前出)、『中級日本語』(前出)、『まるごと 日本のことばと文化』国際交流基金(三修社)等。

IT・視聴覚機材

 CDDVD等のマルチメディア教材が広く使われている。コンピューターは一般に普及しており、学習者が個人的に、インターネット等を利用する環境は比較的整っている。高校や大学の教室にもコンピューターやプロジェクターが設置されているところが多い。また、国際交流基金の「まるごと+」、「みなと まるごとオンラインコース」やNHKの「NEWS WEB EASY」、「Japanology Plus」といったウェブリソースを使い授業を行っているケースもある。COVID-19の感染拡大による2020年3月のロックダウン実施以降、多くの教育機関で対面授業のオンライン化やハイブリッドが進められている。

教師

資格要件

初等教育

 日本語教育は実施されていない。

中等教育

 中等教育教員資格試験(Concorsi per titoli ed esami)における外国語・外国文化教授資格(A-24、A-25)の取得や、PAS (Percorsi Abilitanti Speciali)のような資格取得プログラムの修了といった方法により、中等教育での教授資格を得られる可能性があるが、いずれの場合においても、日本語教育が専門資格として位置づけられているわけではなく、教員として必要な一般的な知識の中に、日本文化等の一環として位置づけられているにすぎない。また、資格の取得が中等教育における日本語教育ポストを保証するわけでもない。
 一方、課外活動として日本語教育を実施している機関では、特に必要とされる日本語教員資格はないため、イタリアに在住し、大学や公立・民間機関で日本語教師を務めている日本人が兼職している場合が多い。

高等教育

 教授、准教授、講師、日本語母語話者教師がいる。
 教授、准教授については国家試験がある。なお、試験に合格しても、資格の有効期限は6年であり、期限を過ぎてまだ配属先が決まっていない場合には、再度試験を受けなくてはならない。講師は通常、博士号取得者以上を対象に各大学が公募。日本語母語話者教師の場合、その採用は各大学に任せられている。

学校教育以外

 特に資格は問われず、多くの場合イタリアに在住する日本人が教えている。同一人が複数の機関で教えていることが多い。

日本語教師養成機関(プログラム)

 日本語教師養成を行なっている機関、プログラムはない。

日本語のネイティブ教師(日本人教師)の雇用状況とその役割

 課外活動として日本語の授業が行われている高校では、近隣の大学で教える日本語ネイティブ教師、民間機関の日本人教師、その他、高校の所在地に在住する日本人が、教壇に立っていることが多い。あるいは日本に留学した経験のあるイタリア人が教えている学校も数校ある。大学レベルでは、教授や准教授職に就く日本人教師は大変少ないが、常勤または非常勤の日本語母語話者教師は20数名ほどいる。その他の教育機関においてはその機関の所在地周辺に住む日本人が教えていることが多い。

教師研修

 日本語教師会である「イタリア日本語教育協会」(AIDLG, Associazione Italiana per la Didattica della Lingua Giapponese)が、年に1度、日本語教育の専門家を招き、イタリア国内の日本語教師を対象に研修会を開催している。
 また、国際交流基金ローマ日本文化会館に派遣されている日本語専門家がイタリア国内の都市数か所で日本語教師研修を開催している。
 このほか、ロンバルディア州ミラノ県中等教育監理監督局では、2003~2007年に「ヨーロッパでもう一つの文化と出会うために ―日本語・中国語・アラビア語を話そうプロジェクト」を実施。2008年からは、各学校・地区の自立・主導で実施されるようになり、各言語別コースガイドも開発され、2009年、2010年、2011年と連続して日本語教師対象の研修会が開催されたが、近年は行われていない。

現職教師研修プログラム(一覧)

【プログラム名】
 イタリア日本語教育協会(AIDLG)主催日本語教育研修会
【対象】
 AIDLG会員を中心に、イタリアで日本語教育に携わる教師
【内容】
 年に1度、2日程度、日本から1~2名程度の講師を招き、セミナー形式またはワークショップ形式にて集中研修を行う。
 その他、国際交流基金パリ日本文化会館が2006年から実施している欧州日本語教育研修会にイタリアから毎年数名が参加している。

教師会

日本語教育関係のネットワークの状況

 日本語教師会として、1988年以来、「イタリア日本語教育協会」(AIDLG, Associazione Italiana per la Didattica della Lingua Giapponese)があり、年1回イタリア国内の日本語教師を対象とした研修会を開催している。
 2009年秋にイタリア在住の日本語教師を対象とする「日本語-イタリア」電子メールグループが設けられ、教師間で日本語教育に関する情報・意見の交換や教材・アイデアの共有が可能になった。(2020年10月現在178名が加入)。

日本語教師等派遣情報

国際交流基金からの派遣(2020年10月現在)

日本語専門家

 ローマ日本文化会館 1名

日本語指導助手

 ローマ日本文化会館 1名

国際協力機構(JICA)からの派遣

 なし

その他からの派遣

 特記事項なし

シラバス・ガイドライン

初等教育

 日本語教育は実施されていない。

中等教育

 語学科目共通のガイドラインはあるが、日本語の全国的な統一シラバス、カリキュラムはない。

高等教育

 大学における外国語教育に関する国家的なガイドラインは存在していない。各大学が独自のシラバス、カリキュラムを使用している。また、大学卒業資格試験などの全国共通の試験はない。

学校教育以外

 各学校が独自に設定している。

評価・試験

 日本語学習者の到達度を測る、国レベルの共通の評価基準や測定方法はない。

評価・試験の種類

 日本語能力試験(ローマ・ミラノ・ヴェネチア)
 日本語能力試験は、日本語学習者及び日本語教育機関・関係者には、日本語のレベルを客観的に測定するほとんど唯一の試験として認知されている。

日本語教育略史

19世紀後半 C.Valenzianiが日本語科の教授に任命される。
1873年 岩倉具視使節団訪問後、ヴェネツィアの商業高等学校で実用日本語コースが開設される。
1903年 G.Gattinoniがナポリ東洋学院(現ナポリ大学「オリエンターレ」)の日本語教授に就任、教材・文法書の作成に着手する。
1980年 1980年代から、日文学研究のためだけではなく、他の分野の研究遂行を目的として、また、より実用的な理由により、日本語を学習する人が増えてきた。
1986年 ローマで日本語能力試験実施。
1988年 イタリア日本語教育協会(AIDLG, Associazione Italiana Didattica Lingua Giapponese)が成立される。
1989年 ミラノで日本語能力試験実施。
1990年~ 1990年代に、学習者数が急増、日本語能力試験受験者も増えた。
2000年~ 2000年前後から南部・島嶼部等に日本語教育が広まるとともに、2000年代には、課外活動として日本語が教えられる高校が急増、学習者の層とニーズが多様化している。
2009年 高等学校修了資格試験「maturità」において、初めて日本語が選択科目の一つとなる。
2010年 ヴェネチアで日本語能力試験実施。
2013年 教育・大学・研究省による教員資格試験に教授科目として日本語が加わる。
2020年 COVID-19の感染拡大により、多くの教育機関でオンライン授業やハイブリッド授業への移行が進められた。
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