日本語教育通信 本ばこ 『日本語教師のためのTIPS 77 ② ICTの活用』
本ばこ
このコーナーでは、最近出版された日本語教材や参考書の中から、「海外の先生にとって使いやすい教材」「授業や研究の役に立つ本」「知っていると便利な図書・資料」などを紹介します。
『日本語教師のためのTIPS 77 ② ICTの活用』
編著者:山田智久
出版社:くろしお出版
URL:http://www.9640.jp/
書籍情報:http://www.9640.jp/xoops/modules/bmc/detail.php?book_id
=41898
発行日:2012年8月
ISBN:978-4874245644
判型・頁数:四六判 304ページ
「ICT」「パワーポイント」「オンラインストレージ」・・・。皆さんはこれらの言葉を聞いて何のことか分かりますか。
日本語教育の現場で使っている教材や教具は、時代の変化にともなってどんどん変わってきました。以前なら、教師は黒板やホワイトボードに書きながら授業をしていましたが、最近では、プロジェクターでパワーポイントのスライドを示しながら授業をすることも珍しくないでしょう。ICTとは、「Information and Communication Technology」の略で、日本語では「情報通信技術」と訳されています。具体的には、デジタル機器(コンピューターやデジタルカメラなど)、ウェブ上の情報(ウェブサイトやブログ)、コンピューターソフト(ワードやパワーポイントなど)を合わせて、このように呼んでいます。情報通信機器が発達した時代の教師には、言葉や教授法についての知識だけでなく、これらを使いこなす力も求められるようになってきています。
本書には、日本語教師が知っておくとよいICTの活用方法が書かれています。各チャプターのタイトルとTIPS*の数は以下のとおりです。
Chapter1 ICTの基本について学ぶためのTIPS | 7 |
Chapter2 授業の準備と教材作成のためのTIPS | 16 |
Chapter3 授業中にICTを活用するためのTIPS | 19 |
Chapter4 情報検索と情報整理のためのTIPS | 14 |
Chapter5 日本語教育で使える便利なフリーソフト | 6 |
Chapter6 パソコントラブルを解決するためのTIPS | 9 |
Chapter7 ICTの可能性について考えるためのTIPS | 6 |
こんな使い方もあったんだ!
ここではChapter3で取り上げられていた内容を2つ紹介します。
デジタルカメラは、サイズが小さくなり値段も安くなったことから、普段から持ち歩いている人もいると思います。では、教室ではどのような活用ができるでしょうか。著者は、次のような使い方を紹介しています。
①撮影した作文を大きく写し、クラス全員で添削する。(TIPS29)
②録画機能を利用して学習者のプレゼンテーションを記録し、パソコンで再生してクラス全体でコメントしあう。(TIPS30)
デジタルカメラで撮るものと言えば風景や人物がすぐに浮かびますが、発想の転換をすると、教室内でも活用することができるのですね。
機器の活用方法以外にも、パワーポイントを使って文型練習や変換練習をする方法、音声ファイルを使いやすく編集する方法、コンピューターソフトを使って効率よく成績管理をする方法などが紹介されています。コンピューターはあまり使ったことがないという人だけでなく、非常に詳しいという人にとっても参考になる実践的な内容になっていますので、自身のニーズや現場の状況に合わせて参照してください。
*TIPSとは「マニュアルに書かれていない、パソコン使用上の便利な技法」の意味(『大辞林 第3版』より)。本書では、パソコン使用に限らず、授業で使える「ワザ・コツ・豆知識」として紹介している。
P.128-129
国際交流基金制作のDVD教材『エリンが挑戦!にほんごできます。』も紹介されています。
(押尾 和美/日本語国際センター専任講師)
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