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さらにますます発展中!
JFにほんごeラーニング みなと」

日本語教育ニュース
このコーナーでは、国際交流基金の行う日本語教育事業の中から、海外の日本語教育関係者から関心の高いことがらについて最新情報を紹介します。

2021年3月
国際交流基金関西国際センター

 「JFにほんごeラーニング みなと 」(以下、「みなと」)は、世界中だれでも利用できる日本語学習プラットフォームです。「みなと」でユーザーは、オンラインコースを受講したり、日本語学習サイト・アプリの情報を得たりできます。地理的、時間的、経済的な制約によって日本語の教室に通うことができない学習者や、これから学習を始めたいという世界中の人々に日本語を学ぶ機会を提供するために、「みなと」は開発されました。
 前回記事「ますます発展中!「JFにほんごeラーニング みなと」」(2019年2月)以降の「みなと」の成長をご紹介します。

数字でみる「みなと」注1

 2016年7月の公開から4年半が経ち、登録ユーザー数も日本語コース延べ受講者数も増え続けています。登録ユーザー数は世界198の国・地域から20万人を超え、これまでに延べ32万人以上注2がコースを受講しています。コースの数や種類も増え、いつでも勉強が始められる「自習コース」は25種類67コースを常時開講しています。

 では、この1、2年で新しく開講したコースをいくつかご紹介しましょう。

コース紹介(1)関西国際センター開講のコース

 関西国際センターでは、日本のことばと文化を総合的に学ぶ「まるごとコース」をはじめ18種類の自習コースを開講しています。そのうち、2019年以降に新しく開講した「漢字A1-1」「書道A1」をご紹介します。

「漢字A1-1」(2019年7月より開講)

  • 「漢字A1-1」コースイメージ画像1(魚、肉、卵、水の漢字をイメージ写真と音声などとともに学習)
    漢字の意味、読み、形の学習
  • 「漢字A1-1」コースイメージ画像2(友人とともに「魚、肉、卵」の漢字の入ったメニューを見る場面)
    習った漢字が使われているメニューを読む活動

インタラクティブな教材で漢字語彙が学べるコースです。漢字の歴史や特徴を知ることから始め、メニューやブログなどで体験的な学習活動ができます。タイピング練習や、手書き用の補助教材もあります。
<解説言語:英語>

「書道A1」(2020年3月より開講)

  • 「書道A1」コースイメージ画像1(書道の様子を上からのアングルで見せる動画)
    筆の運び方を学ぶ動画
  • 「書道A1」コースイメージ画像2(「永」の字の5つの書体を紹介)
    いろいろな書体の紹介

書道を学んだことがない人を対象にした入門コースです。動画とクイズで、書道の基本と書き方、関連語彙が学べます。実際に書道が体験できるように、お手本や、書道具の代わりに使えるものも紹介しています。それらを参考に作品を書いたり、書いた作品をグループに投稿したりできます。
<解説言語:英語>

コース紹介(2)国際交流基金(JF)の海外拠点開講のコース

 JFの海外拠点が制作・開講する自習コースも、今では7種類に増えました。そのうち、2019年以降に新しく開講したコースを紹介します。

「サバイバル・ジャパニーズA1(旅行編)」(2019年3月より開講)

「サバイバル・ジャパニーズA1(旅行編)」コース イメージ画像

日本へ旅行したときに使える表現や語彙、簡単な会話について学べるコースです。
<制作:JFマドリード日本文化センター、解説言語:スペイン語>

「ひろがる日本語A2(Vol.1)」(2019年6月より開講)
「ひろがる日本語A2(Vol.2)」(2020年6月より開講)

  • 「ひろがる日本語A2(Vol.1)」コース イメージ画像
    ひろがる日本語A2(Vol.1)
  • 「ひろがる日本語A2(Vol.2)」コース イメージ画像
    ひろがる日本語A2(Vol.2

サイト「ひろがる もっといろんな日本と日本語」を使って、Vol.1Vol.2合わせて12のトピックについて話を聞いたり読んだりしながら新しい言葉を学ぶコースです。
<制作:JFクアラルンプール日本文化センター、解説言語:英語>

「タイ観光案内A1-A2」(2020年2月より開講)

「タイ観光案内A1-A2」コース イメージ画像

バンコクを舞台に、日本から来た知人にまちを案内する日本語が学べるコースです。
<制作:JFバンコク日本文化センター、解説言語:タイ語>

TRAVEL JAPAN WISH A HAPPINESS @ MATSUE A1-A2」(2020年4月より開講)

  • 「TRAVEL JAPAN WISH A HAPPINESS @ MATSUE A1-A2」タイ語コース イメージ画像
    タイ語コース
  • 「TRAVEL JAPAN WISH A HAPPINESS @ MATSUE A1-A2」ベトナム語コース イメージ画像
    ベトナム語コース

縁結びで有名な島根県松江市を観光しながら、旅の日本語を学ぶコースです。
<制作:JFバンコク日本文化センター・JFベトナム日本文化交流センター、解説言語:タイ語・ベトナム語>

「「にほんご☆ラクラク」A1」(2020年12月より開講)

「「にほんご☆ラクラク」A1」コース イメージ画像

インドネシアの職業高校用教科書『にほんご☆ラクラク』をもとにした、日常生活の基本的な日本語が学べるコースです。
<制作:JFジャカルタ日本文化センター、解説言語:インドネシア語>

日本語教育現場での活用事例

 「みなと」の自習コースは学習者が自学自習できるように作られていますが、教師が授業の教材として自習コースを使うこともできます注3。特に2020年はCOVID-19の影響で、世界各地で授業をオンライン化する動きが広がりました。ロックダウン中でも学びを止めないために「みなと」を活用した海外の教育機関もありました。活用事例を2つ紹介します。

高校の授業で利用(アメリカ合衆国)

 オンライン授業の時間に、学生はそれぞれ自分のレベルに合った「まるごとコース」で勉強します。授業時間の約半分を使って各自のペースで学習を進め、学習時間が終わったらMyPageStudy Progressを教師に見せて学習進捗を報告します。レベル差のあるクラスだったので、どのコースを受けるかは「おすすめコース診断テスト 」で決めました。いろいろな練習や活動があって、高校生でも飽きずに取り組めました。

研修施設で利用(インドネシア、フィリピン)

 集合研修ができなくなったかわりに、「まるごとコース」を利用して反転授業を行っています。事前学習として各自レベルに合った「まるごとコース」を決められたところまで進め、そのあとオンライン授業で、学んだ内容をもとに会話などの活動を行っています。必要に応じて、文字の事前学習にも「ひらがなコース」「カタカナコース」を活用しています。

ユーザーの声

 「みなと」ユーザーより寄せられたコメントからも、COVID-19の影響と、そのような中でも学習を継続している様子がうかがえます。ユーザーの声をいくつか紹介します。

パンデミックの影響で教室での授業がなくなりましたが、「みなと」で日本語の学習を続けることができました。(ドイツ)
かつて学校で学んだことを学び直しています。こんな状況でも家で勉強ができます。(コロンビア)
ロックダウン中の時間を利用して、前から学びたかった日本語の勉強を始めました。(フィリピン)
パンデミックですべての対面クラスがオンラインに変更になってから、「みなと」のオンラインコースは学生と講師の両方に大いに役立っています。私の学生は「みなと」のオンラインコース受講後、オンラインクラスで以前より積極的にやりとりできるようになりました。(マレーシア)

これからの「みなと」

 関西国際センターではこれからも世界中の人々に楽しく日本語を学ぶ機会を提供したいと考えています。
 今後開講するコースとしては、関西国際センター制作の「漢字A1-2コース」や「茶道コース」、ブダペスト日本文化センター制作の「『Dekiru』A1コース」、メキシコ日本文化センター制作の「初級からビジネス日本語A2コース」などを予定しています。
 今後の「みなと」の展開に、どうぞご期待ください。最新情報は関西国際センターのウェブサイト、公式SNSFacebookTwitter)からご覧いただけます。

注:

  1. 1.特に注記のないものはいずれも2021年1月末日時点の数字
  2. 2.2016年7月から2021年1月末日までの合計
  3. 3.詳しくは「みなと」の【お問い合わせ】からお気軽にご質問ください。

(三宅 直子/関西国際センター日本語教育専門員)

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