日本語教育通信 本ばこ 『 まるごと 日本のことばと文化 入門 A1』<かつどう><りかい>
本ばこ
このコーナーでは、最近出版された日本語教材や参考書の中から、「海外の先生にとって使いやすい教材」「授業や研究の役に立つ本」「知っていると便利な図書・資料」などを紹介します。
『まるごと 日本のことばと文化 入門 A1』<かつどう><りかい>
編著者:独立行政法人国際交流基金 来嶋洋美、柴原智代、八田直美
出版社:三修社(https://www.sanshusha.co.jp/np/index.do)
書籍情報: | http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=3989 http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=3990 |
公式ポータルページ: | http://marugoto.org/ |
発行年月: | <かつどう><りかい>2013年10月 |
ISBN: | <かつどう> 978-4-384-05752-9 C0081 <りかい> 978-4-384-05753-9 C0081 |
判型・頁数: | <かつどう>A4判146頁 <りかい>A4判198頁 |
本書は、国際交流基金が相互理解のための日本語を理念として開発したJF日本語教育スタンダード(以下、JFスタンダード)準拠の日本語コースブックです。特に海外の成人学習者にとっての使いやすさを視野に入れて、会話場面の設定や内容、構成に様々な工夫がなされています。「入門A1」はJFスタンダードのレベル設定の中でいちばんやさしいレベル。けれども、1時間目の授業からシンプルでも役に立つ、楽しい日本語学習を展開します。さらに、ことばと文化は切り離さずにいっしょに学ぶという考え方から、異文化理解の視点を取り入れていることも本書の特徴です。日本の生活文化を通して自文化や自分自身をふり返り、クラスメイトと話し合います。全頁フルカラーの写真やイラストはことばと文化の学習を効果的に導くことでしょう。
<かつどう>と<りかい>
本書は<かつどう>と<りかい>の2冊があります。<かつどう>は日本語を運用して行うコミュニケーション言語活動(Can-do)ができるようになることを、<りかい>は言語能力(文字、語彙、文法、文型などの言語知識)を養うことを学習目標にしています。両書はトピックや会話場面が共通しているので、学習ニーズに合わせて、単独使用のみならず併用することも可能です。
課の構成は以下のようになっています。
<かつどう>
- ①トピックと学習目標(Can-do)の確認
- ②聞いて言いましょう
- 語彙と場面の導入
- ③聞きましょう
- 会話モデルとそのバリエーションの聴解(内容とともによく使われる表現に気づくことが大切)
- ④ペアで話しましょう
- モデル会話の流れに沿って自分のことを話す
- ⑤読みましょう/⑥書きましょう
- 現実のコミュニケーションに役立つ簡単なタスク
- ⑦生活と文化
- 日本の生活や文化について写真を通して知り、クラスで話し合う
- ⑧Can-doチェック
- その日の学習を3段階で自己評価
<りかい>
- ①トピックと学習目標(基本文)の確認
- ②勉強する前に
- 課の内容へ導入するための質問
- ③文字とことば
- 文字と語彙の練習
- ④会話と文法
- モデル会話提示、文の構造説明、文脈化された文法と文型の練習
- ⑤読解
- トピックに関連した短い文のコミュニカティブな読み
- ⑥作文
- トピックに関連した短いモデル文をなぞりがきしてから、部分的に自分のことばに置きかえて書く
- ⑦日本語チェック
- その日の学習を3段階で自己評価
生き生きとした授業に
教室活動の特徴としては音声教材が多用されていることがあります。<かつどう>は類似した流れを持つ4つの会話を何度も聞いてからペアで会話練習。また<りかい>は文型練習に会話の聴解を取り入れたり、答え合わせに音声を使ったりします。本書の会話は場面や登場人物の設定がおもしろく、演技や楽しい背景音楽などを取り入れて聞きやすく作られています。専用のウェブサイト※からすべての会話音声教材を無料でダウンロードできるのもうれしい点です。
音声教材のほか、教師用リソースも提供されています。さらに、学習支援サイトも充実。日本語と日本文化を学ぶ楽しさを「まるごと」感じられるこの新しい教科書で、これからの日本語の授業をさらに生き生きとしたものにしてください。
※ 『まるごと 日本のことばと文化』公式ポータルページ
http://marugoto.org/
関連サイトへのリンクもあります
(来嶋 洋美/日本語国際センター専任講師)
「日本語教育ニュース」(2013年9月30日更新)でも本書について紹介しています。
日本語国際センター図書館
「日本語教育通信」の「本ばこ」では、新しく出版された図書の紹介を行っていますが、日本語の教材や、日本語、日本語教育関連の図書についての情報がほしいときは、日本語国際センター図書館のホームページもぜひ利用してください。
日本語国際センター図書館
http://www.jpf.go.jp/j/urawa/j_library/j_lbrary.html
図書館蔵書検索
http://jli-opac.jpf.go.jp/mylimedio/search/search-input.do?lang=ja
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