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「『エリンが挑戦!にほんごできます。』コンテンツライブラリー」がオープンしました!
- 日本語教育ニュース
- このコーナーでは、国際交流基金の行う日本語教育事業の中から、海外の日本語教育関係者から関心の高いことがらについて最新情報を紹介します。
2020年9月
国際交流基金日本語国際センター
1.「『エリンが挑戦!にほんごできます。』コンテンツライブラリー」とは
2020年8月1日にオープンした「『エリンが挑戦!にほんごできます。』コンテンツライブラリー」 (以下、「エリン」コンテンツライブラリー)は、中等教育向け映像教材「エリンが挑戦!にほんごできます。」注1(以下、「エリン」)の動画を中心とした教材コンテンツを提供するサイトです。「エリン」コンテンツライブラリーは、PCだけでなくスマホやタブレットでも閲覧でき、また、ユーザー登録なしですべてのコンテンツが無料でご利用いただけるようになりました。
「エリンが挑戦!にほんごできます。」コンテンツライブラリー
※WEB版「エリンが挑戦!にほんごできます。」とはURLが異なりますので、ご注意ください。
PC版トップページ
スマホ版トップページ
2.「エリン」コンテンツライブラリーの特徴
- (1)豊富な動画を配信
- 「エリン」には、実際に使われている自然な日本語を意識して作られたミニドラマ風の基本スキットと応用スキット、日本の社会や文化、高校生の生活を伝える動画など、日本語学習にも文化理解にも使える動画が約200本あります。「エリン」コンテンツライブラリーでは、これらの動画をすべてストリーミング再生で視聴することができます。
- (2)豊富なダウンロード資料
- 「エリン」コンテンツライブラリーでは、スキットのスクリプトや音声、マンガ、文化理解のための写真やクイズなど、多くの素材をダウンロードすることができます。また、映像項目シラバス、言語項目シラバス、全課分の文化クイズリストなど、「エリン」について理解を深め、授業準備に使える教師向け資料もダウンロードすることができます。これら教師向け資料は、WEB版「エリンが挑戦!にほんごできます。」(以下、WEB版「エリン」)では提供していなかったものです。
資料ダウンロードページ - (3)授業でも活用しやすく
- WEB版「エリン」は、日本語学習者向けの自学用サイトでしたが、実際には日本語教師の方々にも多く利用されていました。そのため、「エリン」コンテンツライブラリーでは、(2)に挙げたような教師向け資料を充実させ、教師の方々がより日本語授業で活用しやすいよう動画のサイズを大きくして、教室での利用もしやすいように画面をデザインしました。
3.各コーナーの構成
「エリン」コンテンツライブラリーは、「エリン」と同じ25課構成で、各課に「基本スキット」、「応用スキット」、「大切な表現」、「これは何?」、「見てみよう」、「やってみよう」、「ことばをふやそう」のコーナーがあります。さらに、WEB版「エリン」の「基本スキット」の中にあった「マンガで覚えるオノマトペ」を1つのコーナーとして新設しました。それぞれのコーナーは、動画とその理解をサポートする教材で構成されています注2。
3.1 基本スキット/応用スキット
- (1)動画を見る
- 留学生エリンを中心としたドラマ風のスキットで、実際に使われている自然な日本語が学習できるだけでなく、高校生の生活や日本社会の様子なども見ることができます。
なお、[1]~[4]の機能は、スキット動画だけでなく、すべてのコーナーの動画に共通する機能です注3。
「基本スキット」 動画- [1]漢字かな混じり・ひらがな・ローマ字・英語の4種類の字幕を選んで、表示することができます。
- [2]動画の再生スピードを、0.5倍、0.7倍、1.0倍、1.2倍、1.5倍の5段階に変更することができます。
- [3]フルスクリーンモードに切り替えられます。
- [4]5秒単位で巻き戻しや早送りをすることができます。
- [5]スクリプトのPDFファイルをダウンロードできます。
- (2)マンガ+音声再生(基本スキットのみ)
- 「基本スキット」のストーリーをマンガで読むことができます。また、スキットの音声をダウンロードして、音声を聞きながらマンガを読むこともできます。
「基本スキット」 マンガ、音声再生- [1]マンガを拡大表示したり、マンガのPDFファイルをダウンロードできます。
- [2]マンガに出てくるオノマトペについて学ぶコーナー「マンガで覚えるオノマトペ」に移動します。
- [3]「基本スキット」の音声を再生したりダウンロードしたりできます。
3.2 大切な表現
- (1)動画を見る
- 「基本スキット」と「応用スキット」で使われている大切な表現を、CGアニメのホニゴン先生、エリン、N21-Jと一緒に勉強する動画です。
「大切な表現」 動画、解説と例文- [1]「大切な表現」の文法説明や使い方などの解説と例文をまとめたPDFファイルをダウンロードできます。
- [2]例文の音声をダウンロードできます。
解説と例文PDFファイル - (2)いろいろな使い方
- その課で学んだ大切な表現を、日本の人たちがいろいろな場面で使っている動画を見ることができます。
3.3 これは何?/見てみよう/やってみよう
- (1)動画を見る
- 各課の場面やトピックに関連する動画です。「これは何?」は、日本の日常生活で見かけるおもしろいものを紹介します。「見てみよう」は、日本の社会や高校生の生活に関係するいろいろなものを紹介する動画です。「やってみよう」では、日本の伝統文化から現代の生活までのいろいろなことに挑戦します。
「これは何?」 動画
「見てみよう」 動画
「やってみよう」動画 - (2)写真解説(見てみよう/やってみよう)
- 「見てみよう」では、動画の各場面の写真をダウンロードしたり、写真についての解説を読んだりすることができます。「やってみよう」では、それぞれの文化体験の手順を示したPDF資料をダウンロードすることができます。
「見てみよう」 写真解説- [1]クリックすると、大きな写真と写真解説が表示されます。
- [2]その課の写真をまとめてダウンロードできます。
「やってみよう」 写真解説- [1]写真解説のPDFファイルをダウンロードできます。
- (3)文化クイズ(見てみようのみ)
- 各課のトピックに関連した日本文化についてのクイズです。
「見てみよう」 文化クイズ
文化クイズスライドイメージ
- [1]その課の文化クイズをPDFとPPTの2種類のファイル形式でダウンロードできます。
3.4 ことばをふやそう
- (1)ことばリスト
- 各課の場面やトピックに関連することばを、イラストと音声で勉強することができます。
「ことばをふやそう」- [1]をクリックすると、ことばの音声が再生されます。
- [2]JPG形式のイラストをダウンロードできます。
- [3]イラストとことば(英訳つき)リストをダウンロードできます。
- [4]ことばの音声をまとめてダウンロードすることができます。
3.5 マンガで覚えるオノマトペ
- (1)動画を見る
- 基本スキットのマンガに出てくる「くすくす」「キョロキョロ」などのオノマトペを表現した実写の動画です。
「マンガで覚えるオノマトペ」 動画 - (2)解説
- オノマトペの意味やニュアンスについての説明と、オノマトペを使った例文、そのオノマトペが出てくる基本スキットマンガの1コマです。
「マンガで覚えるオノマトペ」 解説- [1]基本スキットページにあるマンガに移動します。
4.WEB版「エリン」から引き継がれなかったもの
今までWEB版「エリン」を利用していたユーザーの方々は、「エリン」コンテンツライブラリーを使う中で「あのコンテンツ/機能はどこへ?」と迷われることがあるかもしれません。そのため、WEB版「エリン」から「エリン」コンテンツライブラリーに引き継がれなかったものを挙げておきます。
- (1)ユーザー登録機能
- WEB版「エリン」はユーザー登録をすると、私のページ、学習の記録(文化クイズ段位一覧)、アバター、にほんごクエストの機能を使うことができましたが、「エリン」コンテンツライブラリーではユーザー登録機能自体をなくしたため、これらログイン後に利用できたコンテンツはなくなりました。ただし、ユーザー登録の特典だった「ひらがな&カタカナあいうえお表」は、引き続き「おまけコンテンツ」からダウンロードすることができます。
ひらがな&カタカナあいうえお表 - (2)インタラクティブなコンテンツ
- WEB版「エリン」にあったAdobe Flashを使用したインタラクティブなコンテンツは、残念ながら公開を終了しました。具体的には、以下のコンテンツです。
- 「基本スキット」、「応用スキット」の内容確認問題
- 「大切な表現」の練習問題
- 「これは何?」の4択クイズ
- 「見てみよう」の文化クイズ注4
- 「やってみよう」のゲーム
- 「ことばをふやそう」の練習問題
- (3)多言語対応
- WEB版「エリン」は、日本語、英語、スペイン語、ポルトガル語、中国語、韓国語、フランス語、インドネシア語、タイ語の9言語に対応していましたが、「エリン」コンテンツライブラリーは、日本語と英語の2言語のみでの提供となります。
5.今後の予定
「エリン」は、2006年10月に日本国内でテレビ放送を開始した後、海外テレビ局での放送のほか、2007年にはDVD版全3巻を発売、2010年にはWEB版「エリン」の公開と、多様なメディアで展開してきました。そして2020年、「エリン」の教材コンテンツは、学習者と教師の双方にとって活用しやすいよう、「エリン」コンテンツライブラリーとして新たに生まれ変わりました。
今後、「エリン」コンテンツライブラリーでは、WEB版「エリン」では公開していなかったテレビ版やDVD版に含まれていた動画等を追加していくことを検討しています。また、動画の字幕も、現在は日英2言語ですが、スペイン語、ポルトガル語、中国語、韓国語、フランス語、インドネシア語、タイ語を順次追加していく予定です。
一人で「エリン」を楽しむことはもちろん、教室での視聴、オンライン授業や反転学習の教材としても、「エリン」コンテンツライブラリーをぜひご活用ください。
注:
- 1.中等教育向け映像教材「エリンが挑戦!にほんごできます。」について、くわしくは以下をご覧ください。
- 2.「ことばをふやそう」コーナーは、動画はなく、イラストと音声のみの提供です。
- 3.ブラウザによって、動画プレーヤーの見え方が異なったり、一部の機能が使えない場合があります。推奨ブラウザについては「サイトポリシー」をご参照ください。
- 4.インタラクティブなクイズとしては終了しましたが、スライドとして提供しています。
(羽吹幸/日本語国際センター専任講師
内田陽子・髙橋亜由未/日本語国際センター教材開発チーム)